■ピーチボーイ![1巻]

拾七「赤夜の鬼退治!」
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旅道中 拾七ノ巻
「赤夜の鬼退治!」
―――――――――――


僕達の目の前に現れた姿…。

今度こそ間違いない…。

…―“鬼”だ。

僕は、じっと息を呑む。

鮮血のような真っ赤な瞳。
瞳孔は獣のように鋭く、異様な雰囲気を放っている。

そして、瞳と同じように真っ赤な髪。
頭部には黒い二本の角。

この特徴だけでも鬼である事は間違いない。
それも、人と同じ姿を持つ“高位な鬼”。

その鬼は変わった出で立ちををしていて、大陸(※今の中国)に生息するとされる獣、雪豹の毛皮で出来た衣を纏っている。

八彩位の歳の、青年といった容姿。
だが、鬼特有の禍々しい気を放っている。

佐々海と八彩は、じっと様子を伺いながら武器を取り出した。

「鬼…。
やはり鬼が怪異事件の正体だったのだな…」

佐々海はそう言い、しっかりと刀の柄を握る。

「おまえら、おとぎ人だな?
…何故人間なんかと供に行動している?憎くないのか」

鬼は、フッとほくそ笑み、佐々海と八彩に問いかけた。

「このお方はそんなくだらん事に流されない強きお方!
私達はそんな強き心に惚れたのだ!」

そう叫び、鬼を威嚇するように叫ぶ佐々海。

…佐々海…。
ありがとう…。

「私のある意味命の…、いや。人生の恩人だからね。
一生付いて行かせてもらうよ」

八彩はそう言って、フッと笑みを浮かべる。

…八彩さん…。
うん、僕達はずっと一緒だ…。

皆の意思が伝わって来る…。

うん…。

皆の気持ちに答える為にも、僕の成長の為にも、何としてもこの鬼から鬼ヶ島の事を聞き出してみせる…!

「どこで裏切るか、それとも忌み嫌うか、人間の心変わりとは想像もできないものだよ?
それでも君達はその人間に利用され続けるのか?」

鬼は、不敵な笑みを浮かべながら話した。

「黙れっ!
鬼なんかに人とおとぎ人の絆の力が分かるものかっ!

僕は残酷で残忍なお前達鬼を許せないっ!」

そう僕は叫び、刀を、ザッと構える。
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