■ピーチボーイ![1巻]

拾四「満喫!華やかなる都!」
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旅道中 拾四ノ巻
「満喫!華やかなる都!」
―――――――――――

「それじゃあさっそく情報収集だ!」

あれから半日ほど淀川の流れに沿って歩き続けた僕達は、次の日の朝に、ようやく京の都に辿り着いたのだった。

やはり想像していた通り、かなりたくさんの人々が行き交い、それもいろんな身分や姿の人が往来している。

お店も、店に売られている品々も珍しいものばかり。
また女性物の着物や、装飾品は華やかなものばかりである。

ああ〜…。
つぐみちゃんが一緒だったらどんなに楽しかった事か〜…。

それにこの髪飾り、どれか一つ買ってあげたかったなぁ。

後で買っといて、再会した時にでも渡そう。

僕は一人盛り上がっていた。

…それにしても、
さっきから八彩さんは女性や男性、それも幅広い年齢層の人達に囲まれているなぁ…。

「千羽雉子(せんばのきぎす)様!」

「雉子様!京へいつお戻りになりはったん!?」

「ずっとあなたの帰りだけを待っておりましたえ…」

などと、八彩のもう一つの顔“千羽雉子”が、京の都に戻って来た事に、皆歓喜の様子である。

本当に有名人だったんだなぁー、八彩さん。

取り残された僕達三人は、ぼーっと八彩とその取り巻き達のやり取りを見ていた。

―――――

やがて千羽雉子の取り巻きは徐々に去っていき、僕らは都を散策し始めた。

が、しかし…。

鬼の情報を探すのに、いくら歩き回るにしても、この京…。広すぎる…。
それに道はまるで迷路のように細かく複雑だ。

「どこをまわればいい情報手に入るかなぁー…」

僕は途方に暮れ、呟く。

「ほうへぇ〜(そうねぇ〜)」

隣で千宵は、三色のおいしそうな団子を口一杯に含みながら答えた。

…その団子に集中して、明らかに考えようとしてないよねっ!?

っていうか、いつの間にその団子を手に入れた…!?

そう僕が心の中で軽く突っ込みを入れていると、

「拐われた娘達の家に一件ずつあたっていくのはどう?
京の都は私が長年住んで知り尽くした土地と人脈だから、そうだなー…、夜までには調べておくよ」

そう八彩は提案し、皆がそれに頷いたのを確認するや否、一人歩き出す。

「皆は宿で待ってて〜」

そう言って一回振り返り、いつものようにニッコリ笑った。

八彩さんを一人にして大丈夫かな…。

まぁ、昨日からずっと様子見てたけど、あの調子なら大丈夫そうだ。
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