■ピーチボーイ![1巻]

参「対決!盗賊と犬と僕!」
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旅道中 参ノ巻
「対決!盗賊と犬と僕!」―――――――――――

僕達は見張り番をどんどんやっつけながら鬱蒼と生い茂る雑木林を進んでいった。

やっつけたっ、と言っても、もちろん全部佐々海がやっつけたのだけれど…。

そして、しばらく進むと、前方に廃墟と化したお寺の御堂が見えてきた。

『あそこから私達の武器の匂いがします!
おそらくあの御堂の中が盗賊達の頭の本陣でしょう!』

犬佐々海は虚空に鼻をヒクヒクさせそう叫ぶ。

犬に変身してしまうと、あの佐々海の威厳がまったくもって感じられない…。
それどころか、やっぱり可愛い…!

「佐々海ーーーー!」

僕は堪らず白いもふもふを抱き抱えてモシャモシャした。

『あっ!やめてくだされ!桃太郎殿!!』

佐々海は顔を真っ赤に染め、モシャモシャとこすりつけてくる僕の顔を、前足で押さえつける。

ぷに…。

はぁぁ…、肉きゅう…。

僕は天にも昇る気分になった。



そうこうして走り続けるうちに、僕達は盗賊の頭がいるであろう御堂の目の前に辿り着いたのである。

扉も開いてるし中は静かなようだけど…、逃げられちゃったのかな…?

僕はじっと息を呑んだ。

『中に伏兵がいるかもしれません。
私が一気に中へ踏み入るので、桃太郎殿はその後を付いてきて下さい』

「分かった…」

僕は佐々海の合図で彼の後ろに立つ。

『行きます…』

そう言うと、佐々海は後ろ足を大きく蹴りあげ、御堂の中へと踏みいっていく。

僕はその様子を確認し、白いもふもふ…、否、佐々海の後を追った。

――――――――――――

『そこにいるんだろう!
盗賊の頭!』

佐々海は犬の姿のまま、大きな声で叫んだ。

御堂の中は数本の蝋燭で灯されているだけで、ほぼ真っ暗である。

回りに何があるのか、目が慣れるまでははっきり確認も出来ない。

そんな中、佐々海の声が木霊する。

「誰もいないのかな…?」

僕が辺りを見渡しながら呟くと、佐々海は首を横に振った。

『いえ、私には分かります。人の匂いがします…。

目の前に…!!』

そう言い、佐々海は牙を見せ、前方へ威嚇の姿勢をとる。

すると、前方からゆっくりと歩み寄って来る足音が聞こえ、そして、うっすらと人影が見えてきた。

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