隣の席の準太くん

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私は今、佐奈に連れられて野球場に来ています。



どうやら佐奈がサッカー部の金子くんに恋をしてしまったそうで。


何で野球場なのかというと、ここから遠いながらもサッカー部が見えるからです。



…………近くに行けばいいのに。




「いやいや、無理だから!恥ずかしいもん!」



一回言ってみたら真っ赤な顔して手をぶんぶんと振っていました。



可愛いんだけどね?うん。



正直ここからはサッカー部まったく見えないよ。野球部の姿しか見えないよ。



あ、高瀬くんだ。



そういやピッチャーって言ってたっけな。



かっけー。やっぱ、スポーツは見る方が楽しいな。



じーっと高瀬くんを見ていると、ふと目があった。



びっくりしたような顔をしている高瀬くんに吹き出しそうになりながらひらひらと手を振ってみる。



でもやっぱり練習中だからか、ニコッと笑っただけだった。



「「「きゃぁぁぁぁああああぁ!!!」」」



Σ!!??



何!?何があった!?



「私に笑ってくれたのよ!!」


「違う私!!」


「あんたたちなんかお呼びじゃないのよ!!」



あ、なんだ。高瀬くんが笑ったからね。


あんまびっくりさせないでほしいなぁ。



「何?あの女どもは急に叫んでどうしたの?」



『なんか、高瀬くんが笑ったかららしいね』



「高瀬?ははー……。顔はいいからね。でもやっぱり金子くんのがかっこいいvV」



乙女モードだ………。



佐奈って、かなり一途だからね。


私もあんな風に誰かを好きになってみたいなぁ………。






「それなら俺とどう?」



『へ?……ぎゃぁっ!!』



「ぎゃぁって……。女の子がそんな声あげちゃダメでしょ」



突然後ろから聞こえた声に振り向けば、島崎先輩が真後ろに立っていた。



『び、びっくりさせないでくださいよ…。というか、何でここにいるんですか?』



「え?そりゃぁ、結ちゃんが見えたからでしょ」



『はぁ……。でも、』



小さくグラウンドの方を指せば、高瀬くんのボールを取っている人がすごい顔でこっちを…というか、島崎先輩を見ている。



「げ……。仕方ねぇな。じゃぁな、結ちゃん。さっきのこと、考えといてくれよ」



ひらりと手を振って島崎先輩は去って行った。



…………さっきのことって何?




「ちょっとあなた。島崎くんの何?」



『はい?』



なんだか視線を感じるなぁと思ったら先ほど高瀬くんを見て奇声を発していたお姉さま方だった。



島崎先輩の何、って………。



『ただの知り合いですけど』



「何であんなに親しいの?」



『え、親しいように見えました?』



「見えるわよ!あんなに近くで話してたら!」



いやー、人二人分くらいは間空いてたんだけどなぁ。ちょうど私とお姉さま方の距離くらい。



なーんて、お姉さま方の顔が怖くて絶対に言わないけど。



佐奈は金子くんに夢中だし(というか見えんの?)、周りには助けを求められる人いないから私のレベルの低いスキルで必死にお姉さま方をなだめました。







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