そんな馬鹿な

□#02 (はい?)
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この状態を続けて早三分。
私、色々と限界です。

「あの…お嬢さん?
そろそろ離していただけないでしょうか?」

その声で、漸く彼女が私から離れた。

『ホントのホントにホンモノ…?』

何が本物なのか、私に訊かれても困るのだが。

「失礼ですが、貴女のお名前は?」

『あ、私、彩って言います…!』

「彩」と言う名前の少女は、私が知る限りでは一人も居ない。

(……其れにしても…)

改めて、目の前の少女を見る。
腰までいくゆるふわロングの栗色の髪に、丸くて大きな紅色の瞳。
杜山さんと同じ赤面症なのか、はたまた私が原因なのか、桃色に染まった頬。
白のシンプルなワンピースがこれまた白い彼女の肌に良く似合う。
私以外の人間と比べても、低いであろう背丈。

まさに、可憐な美少女だ。

まさか此処まで完璧な、しかも声までも可愛い娘がこの物質界に存在していたとは……!!!
ッ……いかん。 少し落ち着け。
私は彼女に(不法侵入という)迷惑を(法を)掛けた(犯した)身。
紳士として、紳士らしく、早くこの場を立ち去らねば……
「彩さん、ご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳有りませんでした。
後日、また改めて御詫びに伺わせていただきます。
今日は一度、失礼させていただきますね」

『あっ… ま、待って下さいっ!』

ぐいっ!

玄関へ向かおうとした私を、マントの裾を引っ張り止める彩さん。
否、これは正しい判断かもしれない。
何しろ私は不法侵入をしたのだから、このまま警察に連絡される可能性も…
『あ、の…』

『多分、メフィスト…さんは 家に帰れないと思い、ます』
















(はい?)
今、何と?













…next.

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