結
□未練なんてないくせに
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「いいよ。行く。あなた、妖でしょう?」
ふっと笑って言ったら、男は小さく目を見開いた。
「へぇ。素直だね。そう、俺ぁ妖だ。」
間延びしたように言うその口調は嬉しそうだ。
「もっともっと強くなりたい。もっともっと強く強く・・・・」
そううわ言の様に言うと男はまた口を歪めた。
「いいねぇ。いいよ、いい。強くて尚、力に固執する奴は素質がある。」
嬉々として語る男。
「俺は火黒。お前は?」
「由愛。」
「由愛・・・ね。」
「ねぇ、火黒。」
呼びかけると、行きかけていた足を止めて火黒が振り返る。
「ん?」
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