夢小説


□傷を癒やすのは
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君が涙に濡れるなら 僕が君の傘になろう

君の事を想うのは あいつだけぢゃないって事
あいつと二人一緒に過ごした年月や思い出に 今の僕ぢゃかなわないけれど
でも いつか 越えてみせるから
☆☆☆

彼が彼女の前から去ってから 彼女は益々明るくなったと思うそれは 厄介者が去り清々したという明るさなんかじゃなく
大切な者が去り深く傷ついた心を隠すため

市丸と乱菊さんがそういう仲だって知っていたのはごく少数人数

そのごく少数人数のみんなは乱菊さんの無理やりな明るさには心が痛んだ
でも 誰もそれについては触れないし
腫れ物を扱うようにもしない
極々普通に接している
それが 一番だと思ったから

でも 俺はどこかでその傷に触れたいと思っていた
傷は手当てしないと治らないのと同じ
乱菊さんの心の傷だって きっと手当てが必要なんだ

そんな事を考えボーっと歩いていると誰かに勢い良くぶつかった

「…っ すみま…」

「いったぁい!!修兵ってどこに目ついてんのよぉ」

目の前で痛そうに頭をさするのは
今の今まで頭の中を支配していた彼女
そう 松本乱菊本人だった

噂をすればなんとやら…

いや 噂したわけぢゃくて 勝手に俺が想ってただけか

「すみません 大丈夫でしたか?」

「もぅ… 今日お酒 奢りなさいよぉ」

目だけ斜め上にして 軽く俺を睨んでいるが
美しい顔には変わりなく
長い綺麗な金髪をかきあげて、その間を優しく風が通りぬければ 乱菊さんの香水だろうか
優しい匂いが俺を包む
頭をぶつけたのは俺なんぢゃないかと思うくらい目が眩んだ

「アンタ聞いてんの? 奢りよ お・ご・り!!」

「はっ はいっ」

「よぉし!そうと決まれば 恋次と吉良にも 声かけてこよぉっと♪」

じゃぁ また夜にね〜☆
と今度は笑顔で手をヒラヒラと振って 行ってしまった
あの笑顔も造りものなんだろうか

「…今晩は潰されねぇようにしなきゃな…」
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