夢小説


□僕の気持ち 君の気持ち
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いつだってそう 君は話題の中心に居て
みんなに笑顔を提供してる
君のまわりは自然と笑顔ばかり
そんな君が眩しくて 僕はいつも目を細めてる

でも 僕だって
たまには君を独り占めにしたいその笑顔を僕だけのもにしたい


「そぉそぉ!それでね!この間なんかぁ〜」

昼下がり 小さな人集りの中心に居るのは 巨乳金髪美女
普通に歩いているだけで すれ違った人間が振り返るほどの美人

でも その美を鼻にかける事なく 誰とでも分け隔て無く付き合う サバサバした飾らない性格は外見とは真逆なものだった
それあってか 彼女のまわりにはいつも男女問わず人集りができる
自然と人が集まってくるのだ
彼女自身 大勢でワイワイ騒ぐのが好きだった

「…まぁまぁ いつもながら 賑やかなこって」

その彼女を眩しそうに見つめる彼。
サラサラした銀髪に長身
彼もまた 彼女には劣るものの 美男子の部類に入る

でも 違うのは彼女のように人集りが苦手な事
そんな二人が恋人同士なのだから たまにすれ違いも生じる

「…なんや 昼一緒に食べよう 言うたのは 乱の方やのに」

遠巻きに見ているだけだが 話が盛り上がっているのは良くわかる
ギンは やれやれ…とそばの木にもたれかかって
笑いすぎで目尻を拭う乱菊を見つめた
すると その視線に気付いたのか 乱菊は「あっ!」と驚いたような声をあげてから
周りの人達に何か告げて、手をひらひら振りながら 走ってギンの元へやってきた

「なによぉ そこにいつから居たの?」

「うーん ちょっと前やね」

「声 かけてくれたら良いぢゃないの。休憩時間限られてんだからねー それに…」

うちの隊長さんはうるさいんだからと 文句をブツブツ言いながらさっさと歩き出す乱菊の後ろ姿を見て

「…僕には笑顔振りまいてくれんのやね」

と寂しそうに呟くギンの声は乱菊には届かなかった
食事中も何やら ギンに腹を立てているのか 乱菊はブスッとした顔をしていた

「なんやの?なにか怒っとるん?」

ギンは少し溜め息混じりで問いかけた

「べーつに。なんで 声かけてくれないのかなって思ってただけよ」

「盛り上がってたし 水注したら悪いな 思って」

(…それに 笑顔に囲まれる 笑顔の乱菊好きやし…)
という言葉は喉の奥に何故か今日はしまい込んだ

「あたしが見つけなかったら どうするつもりだったのよ まったく…」

「乱菊は僕の事 絶対見つけてくれるやろ?」

と微笑んで見せた
乱菊は 「はぁ?どこからくんのよ、その自信」と言って顔を背けたものの 耳は真っ赤だった そんな乱菊が可愛くもあり 笑顔をなかなか見せてくれない事に寂しさをギンは感じて居た
そのまま 昼は終わり お互いなんだか気まずい雰囲気を残して お互いの隊室へ戻った

乱菊ははぁと溜め息をこぼしながら
いつも以上に向かう気にならない机の上の仕事の山に手を伸ばした

程なくすると ドアがノックされた

「入れ」

日番谷が少し鬱陶しそうに答えた

「失礼します あの…隊長…うちの市丸隊長来てませんか?」
そこには疲れきった吉良の姿があった

「なぁにぃ?まーたサボってんの?あの隊長」

と乱菊が言い終わる前に 日番谷が

「お前が言うな お前がっ」

とピシャリと突っ込む。

「いや 昼休憩終わったら なんか市丸隊長の様子がいつもと違って…
いつも居なくなるんですが 今日は違っていたので 少し気になって」

と吉良は申し訳なさそうに そしてあなたなら知っているんじゃないかと…
と乱菊を見た
「お前 なんか知ってるか?」

どーせ痴話喧嘩でもしたんだろと日番谷が問う

「あっ あたしですかぁ?知りませんよぅ」

と慌てて返したものの 思いあたる
昼の事を引きずっているんだろうか? ちょっと寂しそうに笑ったギンの顔が頭をよぎる

「仕方ないわねぇ…」

そう呟くと乱菊は立ち上がって スタスタと部屋を出た

「ちょ…おぃっ 松本っ!」

「すぐ戻りまぁす」

乱菊は振り返りもせず 多分見つけて欲しがっているであろうギンの元へ向かった

さぁて どこを探せば良いものか…
乱菊が腕組みをして考えて ただ歩いていると
少し離れた隊舎の屋根から銀色の頭がちょっぴり見えた…気がした

「…ギン…見つけた」

気配を消して静かに近づいた乱菊の声に ギンは驚くでもなく、いつも通りの笑顔で振り返った

「ほらな 乱なら僕を見つけてくれるやろ」

甘えたような声でそういうギンに乱菊は何だか怒る気にならず ゆっくり近づいて 隣に腰を下ろした

「吉良が探してたわよ ついでに言うとアンタがいつもと違ってたって心配もしてた」

ギンの顔を見ずに伝えると

「…誰のせいやと思ってるん?」

とギンは少し拗ねたように小さな声で言った

「全く…私情を仕事に持ち込むなんて 隊長のする事ぢゃないわね」

と冷ややかな視線をギンへ向ける

「そやから 抜け出したんやないの」

ギンはまだ拗ねている
乱菊は黙り込んだ これ以上何を言っても へそをまげるだけだ

「乱菊が悪いんや 僕以外の人にはほんま可愛い笑顔しか見せへんのに 僕の前やと 怒った顔したり ぶぅたれたり…」

「わかってんぢゃないの」

と乱菊がギンの言葉を聞き終わる前に制した

「なにがよ?」

ギンが不満そうに訴える
「だぁから!わかってんぢゃないのよ」

ギンは首を傾げる

「他人の前では笑顔だけしか見せないでしょ
でもアンタ…ギンの前では色んなあたしを見せてるでしょ
ギンだから 見せてるんでしょ ったく…言わなきゃわからないなんて…」

と言い終わる前に今度はギンが乱菊を制した

ぎゅっと抱きついてくるギン
乱菊の大きな柔らかい胸に額をすりつける

「ちょっと ギン??」

「羨ましかったんや 知らん奴といると乱菊はニコニコずーっと笑っとって 僕といるとなんや つまらんのかなとか…」

子どもみたいだと乱菊は思いつつ 甘えてくるギンのサラサラした髪を何も言わず優しく撫で続けた

「でも 乱菊の本音聞けて…なんや 立ち直ったわ」

と上目使いで笑顔を向けるギンに乱菊もつられて笑顔になる

「…もぅ これからはくだらない事で拗ねるの やめなさいよね」

「うん 乱菊だぁいすきや」

とお互いニコニコしたまま どちらともなく唇を寄せる

「よっしゃ!元気でたわ! このまま二人で仲良う昼寝しよ!」
と乱菊の腕を引いたギンの頭を
なんでそうなるのよ! と乱菊がひっぱたく

「イテテ…なんやの 良い雰囲気やったのに!ぶち壊しや…」

「吉良が本当に可哀想だわ!さっさとアンタは隊舎に戻って仕事しなさいっ」

「ふん。乱菊だけには言われたないわ…」

少しの沈黙の後 二人の笑い声が屋根の上から青空へ響いた


……………

その頃 三番隊の副隊長と十番隊の隊長が 書類の山に頭を悩ませていたのは二人は知らない
 

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