願望小説

□新しい生活
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ひなたは5歳になり
益々やんちゃ盛りになって
霊力も日々成長している
霊圧制御装置も腕のバンドになった

ギンと乱菊は相変わらず
隊長 副隊長として日々忙しくしている

「今日 お母さん虚討伐だから お父さんに送り迎えしてもらうからね」

朝食を簡単に済ませ
乱菊は忙しい忙しいと出て行った
ひなたはまだ寝ている父親の布団へ
潜りこんだ

「お父さん…もう7時だょ
起きんと遅刻すんで」

言葉とは真逆にひなたは寝ているギンに
すり寄った

「うー…今日は半休やから
まだ大丈夫やて。
ひなたも 少し眠り」

昨日 珍しく残業して帰ったのが
明け方だったギンは
優しく息子の髪を撫でつけ
また一緒に暖かい眠りについた
乱菊は日番谷と隊士と共に
虚討伐へと出ていた

「松本 ひなたは?」

「?ギンが居ますから 大丈夫ですょ」

日番谷はとてもひなたを可愛がり
気にかけてくれている
それが乱菊はとても嬉しかった
「来やがったな…松本行くぜ!」

「はいっ!」

二人とも斬魄刀に手をかけ
一気に飛び上がった
続いて隊士達も飛び上がる

虚は羽があり 尻尾が鋭く長い
砲口し尻尾を振り回す
数人の隊士にあたり
隊士が吹っ飛ぶのが見えた

「危ない!」

乱菊は虚の裏手に回り
尻尾を攻撃する

「唸れ! 灰猫!!!」

ぶわりと灰猫が虚の尻尾に命中し
ボタリと尻尾が落ちる

「良し!」

それを見計らったように
日番谷が卍解をし
虚はアッサリと倒された

二人とも吹き飛んだ隊士の元へ駆け寄った

腹を押さえうずくまる者や
腕を押さえ 痛みに顔を歪ませている者も居る
中でも酷い傷を負った隊士は太ももが
ザックリと切れ 血液がドボドボと流れている
意識は失っている

「不味いわね…動脈を切ったんだわ」

乱菊はお気に入りのピンクのストールで
その隊士の傷の上をギュッと縛った
血液独特の錆の匂いが乱菊の鼻を突き抜けた

その瞬間
胃の底から持ち上がってくるような吐き気に
乱菊は口元に手を当て、眉間にシワを寄せた

「うっ……」

「?!松本? 大丈夫か?」

日番谷が乱菊の肩に手をかけ
顔を覗き込めば
顔面蒼白になっている

「すみません…気分が…」

「すげぇ 出血量だからな
すぐ四番隊が来る」

「はい あたしは大丈夫ですから
すみません
女性は血には強いはずなんですけどねぇ」

女ぢゃ無くなっちゃったのかな
あはは
などと精一杯ふざけながら
乱菊はじわりとおでこに滲む
脂汗を死覇装で拭った

「もう 大丈夫だ
あっちで頭を下げて座ってろ
多分、貧血だろ」

乱菊はシッカリした足取りで近くにあった木にもたれ座り
膝をたて その間にシッカリ頭を入れた

貧血…?ぢゃないわね…

まだ治まらない吐き気に乱菊の鼓動が変に早まる

このままぢゃ、ここで吐いちゃう…

乱菊は草村に一人入り
胃の中の物を出し切った

吐いてしまえば 嘘のようにスッキリした
朝食べたアジが生焼けだったかなぁ
なんて思いながら
日番谷の元へ戻れば
既に四番隊が到着しており
治療を開始していた

「松本 大丈夫か?
お前もついでに診て貰えば…」
「いえ 多分朝食べたアジが生焼けだったんです
恥ずかしいんで 良いです」

乱菊は手を振ると
日番谷は「はぁ?」と拍子抜けしたようだ

「あたし 魚焼くの待つの苦手なんですよぉ」

「どんだけだよ」

日番谷は苦笑いだ
乱菊もまた苦笑いした

「隊士たちは大丈夫ですかね」
「あぁ…さっきの奴以外は
大した事ねぇみたいだ」

「不幸中の幸いってやつですね」

「…あぁ」
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