願望小説

□こんにちは 赤ちゃん
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「陣痛来たみたいなのよ」

乱菊はまたニッコリ笑った

「えぇっ??
ヤバいじゃないっすか?
どーすりゃ良いんすか?」

日番谷よりテンパってる恋次を見て
乱菊はため息をついた

「だぁから!そんなに簡単に産まれないわよ」

「阿散井 さっさと連れて行け 俺は市丸の所へ行ってくる」

「担架ありますかね?」

「三席に聞いてくれ!」

「了解!俺じゃぁ「担架なんか必要ないわよ」」

乱菊は恋次を軽く睨んだ

「歩いて行けるわよ…」

よっこらしょと乱菊は立ち上がった
慌てて恋次が乱菊の手をとる

「担架の方が…」

「恥ずかしくて それこそ
産まれちゃうわよ?」

「「えっ?」」

二人が出産に知識が無いのを
良い事に乱菊はサラリと嘘をついた

「ほら…行くわよ
たいちょ お願いします」

「わかった」

日番谷は瞬歩で姿を消した

「恋次も…あたし瞬歩はさすがに
無理だから 悪いけど
付き合ってね」

「はいっ」

恋次はとても心配そうな顔をしていて
乱菊の方が恋次を心配するくらいだった

二人は無言で歩いたが
時折 乱菊が足を止めるたび
恋次は「担架の方が…」と呟いた
その呟きは四番隊前で
現実の物となる

いきなり乱菊の腹の中でパン!と音がすると
乱菊が悲鳴に近い声を上げた

「うわっ!破水しちゃったっ」

乱菊は慌てて死覇装に手をあて
出血じゃない事を確認した

もう恋次は顔面蒼白である

「うおぉっ!乱菊さん!
大丈夫っすか??」

その慌てっぷりに乱菊は頭痛がした
そこへ愛しの霊圧が近寄る

「二人で何してん」

「ギン!あたし破水しちゃったみたい」

「うわわわ!!」

「阿散井くん 悪いんやけどすぐ
卯の花隊長はん 呼んできて
ボクが乱菊を運ぶさかい」

ギンはヒョイと乱菊を抱き上げた

「ギン??」

「破水したゆう事は赤ちゃんはきっと苦しい状態やねんで
乱菊は大人しくしとり」

恋次に続いてギンもまた瞬歩で
四番隊の中へ入って行った

乱菊は冷静沈着なギンを
とても頼りがいがある
素晴らしい男性だと思った

そこにはもう卯の花が待っていて
ギンは一つの部屋へ
乱菊を運び入れた

「では 時が来たらお呼びします」

卯の花は静かに戸を閉めた
ギンは部屋の前のソファーに座った
横には疲れきった恋次が座っていた

「ありがとさん」

「いぇ…俺なんにも…」

「しかし 市丸隊長は凄いっすね
冷静沈着っていうか」

恋次は苦笑いを浮かべた
ギンはいきなり掌を恋次に差し出した

「????」

恋次は不思議そうな顔をして
手を見つめた
良く見れば 小さく小刻みに揺れている

「ボクかて動揺しとるよ」

そう言って苦笑いしながら
ギンは手を握ったり
開いたりしていた
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