願望小説

□新しい生活
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双子という事もあり
乱菊の腹はあれよあれよと膨らんで行った

貧血が酷くなった為
乱菊は早々に産休に入った

「やっぱり 二人入れておくのは
キッツイわね…」

ヨイショ…と洗濯物を持ち縁側へ来ると
ちょこんとひなたが座っていた
「あら?ひなた?」

「あ お母さん。僕 手伝う」

二人で濡れた洗濯物を畳む
最近ひなたは大分大人っぽくなった
が、それが無理をしているような気がして
乱菊はどうしたものか と頭を悩ませた

「ねぇ ひなた」

「なに?」

ひなたは乱菊を見ずに洗濯物を小さな手で
必死に畳んでいる

「赤ちゃん生まれても我慢する事ないのよ?」

「何 いきなり言っとるん?
我慢て なんなん?」

憎まれ口なのか…
益々拗ねた時のギンに見えてきて 乱菊は苦笑いした

「あんたは確かにギン…お父さんに似てる
でもお母さんの子でもあんのよ」

だから…と続けようとした乱菊の胸に
腹を気遣い遠慮がちにひなたがすりよってきた

「赤ちゃん生まれたら もっとぎゅっとしてあげるからね」

乱菊はひなたの背をゆっくり撫でた

「お母さん…僕もこうやって
入っとったん?」

「そぉよぉ!入ってたわよ
お父さんもお母さんも良く話かけてたわよ」

ひなたは へぇ と乱菊の腹をマジマジと見た
するとポコポコと腹が動いた

「あらっ ひなたの声に反応してる」

乱菊は微笑んだ

「今のは弟の方やと思う」

ひなたも微笑んだ

「ん…?男の子か女の子か見えないからわからないって
卯の花隊長が…」

「僕にはわかるんよ
小さい方は男の子
大きな方は女の子やわ」

えぇっ!と乱菊は驚いた
と いきなり ひなたは顔を歪めた

「お母さん なるべく早く病院行った方がええよ。
男の子の方 大きくなれんみたいやわ」

ひなたの真剣な顔に乱菊はギクリとしながら
頷いた

「ぢゃぁ お父さんを迎えに行くついでに
四番隊 一緒に行ってくれる?」

「えぇよ!たいちょのとこ 行きたい!」

ひなたはそそくさと準備を始めた
乱菊はひなたの言っていた事が胸に引っかかりながら
洗濯物を干し終えた
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