陰色の陽

□夢回す銀槍 part4
1ページ/4ページ





二人は陰璃がいることに気づいていなかったようで目を見開くが、大助はすぐさま立ち上がっていた。


亜梨子はすぐに、陰璃が朝会った人物であることに気がついた。




「あなた、今朝の……」


「こないな棒にヤられてまうなんて、情けないでぇ」


「うるさいっ。大体、お前なんでいつも遅刻するんだよ?待たされるこっちに身にもなってみろ!」


「堪忍なぁ。文句はあいつに言ってや」




小さく舌打ちをする大助をなだめ、陰璃は先程からこちらを見つめる少女に向き直る。




「やっほ。朝はドーモ」


「…アンタも虫憑きだったのね…」


「…………」


「昨日の事件も、アンタたちがやったのね」




陰璃も大助も、亜梨子の問いには答えない。


先ほどまでは反抗期の子供のようだった大助は、冷淡な表情で。先ほどまでふざけた笑みを浮かべていた陰璃は、妖艶な笑みで、亜梨子を観察している。


相手の雰囲気にのまれないよう、亜梨子は声高に言い放つ。




「昨日の事件に居合わせたコが、“虫”を見たって言ってるのよ。
それに私の友達が、校内で怪しい人間を見てるのよ。怖そうな大男……で……中年……には見えないわね……あれ?」


「中年オヤジと間違えるって……なんやショック」


「ふん」




片や苦笑を、片や嘲笑を浮かべた。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ