血喰う獣神
□はじまり
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あか
あか、あか、あかあかあかあかあかあか・・・
視界が次第に赤に染まる
激しい痛みはもう感じない
その代わり、体が削られていく感覚だけはしっかりと感じることがてきて
気持ちの悪いその感触は、どう表現すればいいのだろうか
思えば心残りばかりだ
我が師からは、まだ学びたいことがあった
友人の花嫁衣裳を見て、心から祝いたかった
友人の花婿衣装を見て、彼女を幸せにしてと願いたかった
もっと、世界を歩きたかった
もっと、思い出を作りたかった
もっと、あの少年と…
少年…
そうだ、彼は今どんな顔をしているのだろう
ハーフエルフのあの少年の…
私の大切な彼の顔を、最後に目に焼き付けたい
ほとんど自由に動かない首を回して
視界が薄らと闇を持ち始めた頃に見えた彼の顔は
歯を食いしばって泣いていた
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