You change the world.
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シャルの言ってた通り日が落ちると共に雨も上がっていた
こんなにも良い事が重なるとこれからの事を差し引いても気分も軽くなる、ドレスの裾が濡れないのは最高に嬉しい
パーティー会場でもあるターゲットの屋敷に着きイルミのエスコートで会場内を進む
あらゆる年代の女性の視線を集める先を見上げていつもの無表情を見つめて思う
(喋らなきゃいい男なんだよね)
「見惚れてるの?」
「ハズレ、お持ち帰りするなら声の小さな人選んで欲しいなって思ってた」
「あやめ以外目に入らないんだけど、どうしたらいい?」
赤のドレスは白い肌にとても映え、シンプルなデザインがまたあやめの美貌を際立ったせ、髪をアップに結っているので際どく開いた背中に目を奪われる
「そんな目で見ないでって言ってるでしょ、今夜は予定あるの早く終わらせて帰りたい」
「予定って?」
「図書館に行きたいの、いい物見つけたから」
「でも、あの日じゃなかった?大丈夫?」
「普通の図書館だからすぐ終わると思うし…そうだ、金庫の解除に必要だから息子は任せてね」
「了解 こっちは適当に終わらせる」
端から見れば開いている背中に伝うイルミの指の仕草は会話の内容と掛け離れた恋仲の甘いもの
一般人の暗殺など容易いもので、平素と変わらない落ち着いた姿から二人のパーティー参加の意図に気付く者などいない
目の保養とばかりに注目を集めていた二人だが、イルミの指先が離れた時が開始の合図となった
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