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「12月15日金曜日。今夜は寒気が広がり今季最低気温を記録しそうです。これから夕方に掛けて降り出す雨は夜半に雪に変わります、遅くに帰宅予定の方は暖かくしてお出掛け下さい。」

みんなが仮宿と呼ぶおんぼろな建物に誰かが拾ってきたこれまた年代物のテレビから綺麗な笑顔のアナウンサーの声が響く



言っていた通り12月に入ってすぐに行動を開始した旅団は流星街を出てこの廃ホテルを当分の拠点と決めているみたいだ

窓は割れ床は砂埃が広がる廃ホテル、一階は散々な状態だが階を上がるにつれ落書きも少なくなり最上階の11階のベッドは埃を叩けば使える状態で従業員部屋で見つけた手付かずのまま残されていたリネン類を被せたらなんとか様になった


移動するから戻りはホームでなく俺をアンカーにとクロロに言われてから8日ほどこのホテルを利用しているがその間に旅団は3箇所を襲撃しており、その勝利品はクロロが使っている部屋の片隅に無造作に積み上がっている
何個かは手元に置いて眺めているからきっと欲しかった物はそれだけで積み上がっている物は換金予定で盗んできた物なのかもしれない


一回目と二回目の盗みには手伝う事があったら支払いが完了できると思ってついて行ったけど、シャルの下調べが完璧なのか警備が手薄なのか旅団にとっては簡単すぎるみたいでクロロの後ろについて回るだけで終わってしまう

何もやること無いし外は寒い、おまけにエロジャージは暇さえあれば殺気を向けてくるから良いことなんてこれっぽっちも無い。三回目は丁重にお断り

クロロについて来るよう強要されるかと思ったけど『必要な時は呼んでくれればすぐに駆けつける』で難なく話は纏まったので、シャルが用意してくれたストーブ前から離れないで済んだ



「パクー今夜雪降るって、今日出るの止めておけば?」

「もう団長に参加するって言ってしまったからそんな理由じゃ止めれないわ」

どんなに寒くてもミニのスーツスタイルを崩すことのないパクノダ、流石にコートを着ているけど裾から覗く脚が寒そうで一応声を掛けてみたけど参加の意志は変わらないみたい

「でも寒そうだよ」

「あやめは本当に寒がりなのね。それに私はそんなに着込んでたら汗かいてしまうわ」

そんなに着込んでると言われた私は、厚手のパーカーとデニムパンツの上にミリタリーコート、もちろんパーカーとコートのフードは被って中にもいろいろ着込んでる

「もしかして着膨れしちゃってる?」

「ふふっ大丈夫よ。でももう少し女性らしい物も着てみたら?」

「お洒落するのは嫌いじゃないんだよ、むしろ好きな方。でも寒さには負けちゃうの。あっパクとお買い物行く時はちゃんとするからね」

「楽しみね、この仕事が終わって一段落したら行きましょ」


コスカリ村から戻った直後は気温の変化に体がついてこなくて手足の冷えが酷い
そんな私を見かねてパクが温かい紅茶を淹れてくれてお喋りが日課になりつつある
いつもはマチやシズクも参加するんだけど今日は2人だけのお茶会、シズクは不定期参加だけどいつも居るマチが居ないのが気になる

「ねぇ、今日はマチ居ないの?」

「なんか用があるんですって、今夜は早く出るらしいからもうすぐ戻るんじゃない?」

そう言えば今夜はちょっと離れた場所だと今朝クロロも言ってたな…

「遠くてもここに戻ってくるの?」

「どうかしら、もしかしたら一時解散になるかもね」


はっきりして欲しいな…クロロが戻らないなら自宅に戻って熱いシャワーを浴びたい。そして暖房をガンガン焚いてぬくぬくしたい、それか村に戻って温泉入ってちびっ子抱いて寝るのも良いかもしれない




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