You change the world.
□26
4ページ/4ページ
「開けろ」
「だから、だめなんだって」
昨夜と同じことを言い合っているのだが、今夜のクロロはしつこい。
これ以上開けるつもりがない私はドアノブに体重をかけて引いているのに退ける気配がない
挟めている足が痛くないのか、木製のドアが軋み壊れてしまうのではないかと心配になるくらいだ
「しつこい、ダメなの。諦めて!」
「マチが正しいとなんで言い切れる」
「えっ…そうなの?」
力が抜けた私の腕をドアノブから外し部屋に入ると何事も無かったようにベッドに腰掛けるクロロを目で追う
「普通じゃないって…間違いなの?」
「普通の定義は誰が決めたんだ、本人が良いって思っているならそれで良いんじゃないのか?」
「…でも、自分の彼が他の人と寝るなんてクロロの彼女さんはきっと悲しむよ。」
「恋人なんて居ないから悲しむ女はいない」
「でもさっきの電話の人は?」
「女からの電話は全部彼女だとは限らないだろ、それにさっきのは仕事相手の情報屋だ」
「………」
そっか…仕事の電話だったのか、なんで女性からの電話ってだけで彼女だと決めつけてたんだろう…
イルだって時々外の情報屋を使ってることがあるのに思いつかなかった。
仕事の電話なら聞かれたくなくて部屋から出たのも納得だよね、自分の浅はかな勘違いに恥ずかしくなる
難しい顔をしていたと思ったら少し俯いて拗ねたように唇を尖らせている、年齢より大人びた容姿なのに時折見せる幼さ。
ああ見えて世話焼きなマチが気にかけるのも分かる、目を離すと何に騙されるか分からない。特に男女間の話には疎いようだ、現に今俺の言葉を鵜呑みにしている
俺が言うのもなんだが今までどんな男に引っかかってきたのか心配だ
「早く寝るぞ」
布団を捲りドアの前から動かないあやめを呼べば渋々だが入ってきた
少し離れてこちらに背を向けて横になる体に腕を伸ばし抱き寄せるとビクッと反応し固まる身体、男に慣れた女がやると興醒めするがあやめの初々しい反応は俺の雄の本能を擽る
髪の隙間から見える白い首筋に舌を這わせたい、この滑らかな白い肌に赤い花を咲かせたらどんなに綺麗だろう
腹部に回した腕を少し動かすだけで届く距離にある乳房を弄ればどんな声で鳴くのか…
腕の中で乱れるあやめを想像するだけで下半身が熱くなる
このまま抱いてしまいたいがこの安らかな時間が最後になるのは困る、一度味わってしまうと忘れることなど出来ない
気付かれないように腰を引き、逃げれぬように回した腕に力を込める
ただの寝心地良い抱き枕に欲情している俺はどうかしている
溜まってるのか…?
→27
.