You change the world.

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ボロが出そうだから採掘は止めて午後からはやることはないが事務所に籠もった
意味もなくPCに向かいわざとらしくカタカタと音を立ててキーボードをいじっているとクロロの携帯に着信があり部屋を出ようと立ち上がったので、一応構いませんよと意思表示をしたが電話を耳に当てながら部屋を後にした

ちょっとだけ漏れ聞こえてきたのは女性の声でやっと繋がった、そんな感じの言葉が聞こえた。
彼女かな?確かに私が一緒に動くようになってからクロロが電話を掛けていた記憶も無いし、掛かってきた記憶もない。

久し振りにクロロの声が聞けて嬉しかったのか、女性の声は弾んでいた。


こちらが勝手に意識してるだけかもしれないけど、クロロの視線は見張っているみたいに思えて居心地が悪かったので退室してくれて正直助かった
彼女さんありがとう。と呟きが口から漏れるがなんだか胸の辺りがモヤモヤする、視線から逃れられて助かったはずなのに石でも詰まったかのように重たい。

背もたれに体を預け窓の外を眺めていると無意識にペンダントトップを弄っていた、貰った琥珀を日に透かして見てみる。
不純物の少ない綺麗な薄いオレンジ色のちょうど真ん中に浮かぶ古代の昆虫、虫と名前に付くものは好きではないからこれに近い足がいっぱい生えている虫が現存していたとしても出会いたくない。
琥珀の中に浮かんでいるから綺麗なんだ、 生きて動き回っているなら速攻で退治の対象だ

古代にロマンなんて感じない、オレンジと昆虫の黒い色のコントラストが絶妙で気に入っただけ


戻ってきたクロロから不思議そうな視線を感じたが構わず続けていると本を手にして読書に戻った
大好きな石なら時間を忘れて眺めていられるはずなのに今日は胸の詰まりが気になってしまい落ち着かない、解決する糸口を見つけたいが浮かんでくるのは電話を片手に部屋を出て行くクロロの姿。





気を取り直してパーティーに着ていくドレスに目星をつける為ネットを覗いていると随分と日が落ちていて外から子ども達の声が聞こえてきた
胸にある詰まりは子ども達の顔を見ても晴れることがなく上手く笑えていない自分に苛立つ

悪循環のループに紛れ込んだようにグルグルと回り、元凶である先ほどの胸の詰まりに辿り着く
パクとマチならこれが何なのか答えをくれるかな?
でも説明するにも何を話して良いかも分からないんだから相談もできないか…





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