本3 その他CP

□ストイック復習中
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サカセラ





「ストイックって結局何なんだろーなー」

「まだ言ってんのか」

「まぁ、良っか」



タイトル無視の完結?



堺の家で二人きり。
率先して何かをして来るなんて事は無い堺だが、やっぱりオトナだし男だしスイッチがONになる時がある。
甘い台詞があるわけで無く、ましてや堺から甘えて来るとかも無い(つか、想像出来ない)。世良から誘惑(語弊)してみるが大体失敗に終わる。有無を言わさず押し倒して来るとか………、それが一番近いかな?
でも、その時の堺の眼差しはあっさりと自分をオトす。少々キツい物言いと不器用な態度も堺らしくて男らしい。その割に仕草は優しい。気遣われてるのが疎い自分でも分かる。単純だから冷たくされると直ぐ落ち込むし、優しくされたら直ぐ浮かれるし、そんな自分の側に「馬鹿だな」と言って撫でてくれる堺が居てくれるのが、凄く嬉しい。

目の前の堺をぼやんと見つめながら世良は暫く沈黙する。

「ストイックって要は"自分に厳しい"って事だろ?」

堺が諭す様にそう口にするが、騒がしい…騒がし過ぎる後輩が随分と静かなので堺の視線は僅かな心配と共に世良へ向けられる。
練習後で疲れているという事もあるだろうが、世良に其れが当て嵌まるかと云えば、無いな、と断言出来る。何時だって五月蝿い位に騒がしい。元気で明るいと無難に比喩して置こうと堺は妙に大人しい世良を見る。世良と云えば、その内容はともかく考え事をしていた所為か頬杖という支えも頼り無くカクン、コクンという擬音で相違無い見事な舟を漕いでいた。

聞いて無ぇのかよ…、ゆっくりついた溜息は呆れ半分だが子供みたいな世良はほんわりと堺の心を和ます。

手を伸ばし世良の肩を引き寄せて自分の肩へ頭を預けさせる。こんな事をして起きてたら騒がしいだろうな、と思いそれも想像出来てしまい苦笑する。

「さか…ぃ…さん」

ふわふわと微睡む世良の髪が揺れて堺の頬を擽る。声色からはちゃんと意思を持っているか如何かは分からない。

「さかぃ…さんはー…、かっこイイし…、おとこらしー…し、やさしーぃし…、おれ…だいすき…す…」

ふにゃと破顔し舌っ足らずな口調で世良が話す。"ストイック"を考える内に堺の事を考え始め、世良の頭の中はすっかり堺で一杯になったのだ。

「りょーりうまぃしー、……おこる…けど」

「…………」

「…ぁどばぃす、してくれ…んのもぉ…ぅれしーしー……、おこるけど…」

「……おい」

…そんなに俺怒ってるか?寝呆ける世良に思わずツッコむ。

「……でも…すき」

「………………」

馬鹿みたいに素直過ぎだろう、と堺は頭を掻いた。

「ストイックの意味は分かったのかよ」

返事には期待せず堺が尋ねる。

「…………んー?………さかぃさんー?」

「……お前がそう思うなら、そんでも良いけどな…」

自分自身ではとてもそうには思え無いけどな、と内心に世良を見れば満足そうな笑みを浮かべる表情に、堺もつられて笑う。

まぁ、精々この後輩の思う先輩で居てやろう…、

そう思う堺だった。







おわり
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