本3 その他CP
□temptation
1ページ/2ページ
ガミホタ
「ガミさん、ジャケット…掛けておきますから…」
試合後だろうと行きたくなったら行くでしょ?と自分に素直な石神は堀田の家へ遠慮無くお邪魔していた。
今日の試合は石神も堀田も交代無くフル出場だったから正直結構疲れている。だけど家に来ると言う石神が子供みたいに楽しそうにするから堀田は断るなんて選択肢はさっくり廃除した。数秒後、ガミさんに甘い…と自分を反省するのも、もういつもの事で堀田は苦笑し軽く頭を掻いた。
堀田の家へ来て何の気無しにジャケットを脱いだら冒頭の堀田の台詞。「おう」とジャケットを腕を伸ばして堀田に渡しかけた石神だったが、何を思ったかその腕をさっと引く。
ジャケットを取ろうとした堀田の手は見事に空振り、その目は怪訝そうに石神を見た。
「どうし…………っ」
ーたんですか?と聞こうとしたが、ずいっと近づいてきた石神が顔を埋めるように抱き着いてきたから堀田の言葉は途中で掻き消えた。
腰にまわる石神の手に力が篭る。
堀田もまだ帰宅したばかりだから石神と同じくチーム専用のスーツを着たままだ。石神のジャケットを掛けるのを先にしようと自分はジャケットすらまだ脱いで無い。ネクタイも着けたまま。
「…………ん…っ」
ぎゅうと懐いてくる石神が緩く首に噛み付いてきた。
一度だけならまだしも何回も噛み付かれ、ビクンと身体が震えて堀田は思わず石神の肩にしがみつく。
「…可愛い」
「…な…っ、に、するん…ですか…ッ」
緩められたネクタイとシャツの隙間へ石神はまだその行為を止めようとしない。
「…ふ…、ぁ…ッ」
どのくらいそうされてたのか…そんなに長い時間でも無かっただろうが呼吸は乱されて、いつの間にかジャケットが肘の辺りまで下がってたりシャツのボタンも半分は外されてたりした。はぁっと詰めてた息を吐く。
「…ヤバイ。堀田君、色っぽい」
「…ッも、…何、言ってんですか…っ」
呆れた声で返すものの石神はお構い無しにズボンの中へ手を侵入させてきた。
「…んっ、待…っ、…あ…、ガミさん…っ」
「スーツ姿も凄げーソソる」
「…んンっ」
も、って…そういえば浴衣の時の話か?と片隅で思い出していると首にこれでもかってくらい噛み付いてた石神の唇は、ペロと堀田の唇を軽く舐めて触れる寸前で止まる。
それが舌の催促だと堀田もわかっているから、焚きつけられた熱に逆らわず、そろと舌を差し出した。
「…は、…ぁ…っ」
絡まる舌が柔らかくて気持ち良い。触れた堀田の頬が熱を持ちはじめて熱い。
「…溶けそー」
唇を離して…へら、と軽く笑う石神を眉を下げて堀田は見返した。
石神の口元は益々笑みを深めた。ベッドへ堀田を押し倒して改めて見ると、自分でやったのには違い無いが乱れた服装と堀田の表情にぞくと煽られる。
「…ガミさ……」
ズボンに侵入させてた手を引き抜くと、目尻の辺りを赤く染めた堀田の瞳が僅かに潤んで見えた。
堀田の上に跨がって石神もスルとシャツの襟元のボタンとネクタイを軽く緩めると堀田の顔が更に赤くなった。
「…何?」
「…な、何でも…っ…」
明らかに動揺して目を泳がせる堀田のその理由はわからず石神が不思議そうに堀田を見下ろす。
暫くそのまま考えていると今度は堀田が尋ねてくる。
「…ガミさん?」
「…まぁいいや」
「……っ……」
ズルと片足だけズボンと下着を引き抜かれると堀田の表情がまたギクリと色を変える。
「ま、待っ…、ガミさん…っ」
「だめ」
堀田の制止の言葉はアッサリと石神の2文字に弾かれてしまった。
カタンと、アイロンを置いて堀田はため息をついた。
「ゴメンなさい」
キチンと謝ってる風な石神を見た堀田は、その実、何が面白いのか、じーっとそんな堀田を眺めていた石神が相変わらずへらと笑ってるから反省してしてますか?と言いたくなる。
「何でスーツのまんまスるんですか…」
呆れたと言うより諦めたという口調で堀田が再びアイロンを動かしはじめる。
「やー、ホンっト、スーツ乱した堀田君色っぽいんだもん♪」
恥ずかし気も無くそう話す石神に、何つー事言うんですかと言いたかったが、ついコトを思い出してしまい堀田は頬を赤くした。
スーツはまた次の試合には着て行かなくてはいけないのだが、堀田が制止させようとしても石神が聞いてくれず…要するに汚れたり、結構盛大に皺になってしまいどうしても洗濯しない訳にはいかない。
そんな訳で洗濯後綺麗にアイロンを掛けてる堀田を律儀だなぁなんて、にんまりする石神は、やはり反省の色は薄いようだ。
「何、笑ってんですか」
少し不機嫌そうな堀田の声も石神は何だか幸せそうな顔して笑い胡座に頬杖をついて堀田を眺めたまま。
暖簾に腕押し?
また、はぁとため息をついて堀田はアイロンを掛けるのに集中する。
「来た時にさー…」
「……?……はぁ」
石神が良くわからない切り出しで話しはじめるから、アイロンを掛けながら堀田も適当に相槌を打つ。
「俺のジャケット掛けてくれようとしたり、今も甲斐甲斐しく洗濯してアイロンまで掛けてくれてるし…」
いや、好きでアイロン掛けしてるわけじゃ無いんですよ?と石神の話を聞きながら堀田は心の中でツッコんだ。
「いやー、良い主夫になるよ。堀田君♪」
「何ですか、ソレ」
何だろうね、と笑う石神と何だか可笑しくて堀田も笑った。
アイロンを掛け終えて自分のスーツをハンガーに掛けて、次に石神のも掛けて軽く整える。
「……………」
俺も…
ガミさんのスーツ姿…意外と(←余計)格好良くて好きです。
………とか、
「堀田?顔赤く無いか?」
「何でも無いです…っ」
絶対、言えない。
おわり