本3 その他CP

□イチトゼロノアイダ
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モチミク





「寝てるか居無ぇかどっちかだな」



 毎度同じく勝手に三雲の部屋に上がり込んだ持田は、自分の行動などもはや上げた本人ですら届かないくらい高台の棚に上げて、それはそれはフリーダムな発言をして眠る三雲を見下ろした。



 持田の発言では常に寝てるみたいに言われた三雲だが、たまたま持田の来たタイミングが悪いだけで別に三雲は普通に生活を送っている。今日も練習後、用事も無いから真っ直ぐ家へ帰宅した三雲は最新のサッカー雑誌に目を通し、一人暮らしだし適当に夕食を済ませて、その後軽くストレッチなんかしてからお風呂で汗を流してベッドへ入った。時間も日にちが変わる少し前。就寝時間としてもおかしくない時間帯だ。管理人よりよっぽど真っ当に生活している(余談)。



 すやすやと大人しく寝てる三雲を眺めて持田はふーとため息をついた。



 寝てる三雲を眺めて、ここのとこ足を診てもらいに病院通いだったため練習には出て無く、遠巻きから密に眺めてただけだったから、こんな近くでコイツの顔見るのも久しぶりだな、と持田はぼんやり考えていた。




「……ぅ…ん…」



 寝てる三雲が身じろいだ。持田が隣へ座っても熟睡してるのか起きない三雲に、無用心だなと憮然としながら頬をむにと掴む。



 自宅のオートロックのマンションで戸締まりもちゃんとして寝てるのに無用心も何もないが(※持田は合鍵を所有してるので出入り可)、そんな事を考えて起こすようについ、と鼻もつまんでみる。




(起き無ぇな…)



 こんな時間に勝手に上がり込んでおいてしかも寝てるのに起こそうとしてるのも大概だと普通は思うが王様はその考えに至らない。起きないからつまん無ぇとか思い手を離して起きない事を良い事に逆に何してやろうか思案をはじめる。



 そんな自分の危機には気づくはずもなく再び身じろぐ三雲。




「……さ…ん…」




「…持…田さ…、会いたい…す…」




「…………」



 三雲の寝言に持田の動きとともに思考も止まる。



 手は自然と三雲の頭を撫でた。






 隣に居んだけど…。







 練習でもプライベートでも会わない日が続いたから起きてたら口に出さない言葉を三雲がぽつりと呟いた。



 そんな三雲はじわと本当にうっすら涙が目尻の端を濡らしていて持田は何だよ、と呟き頭を掻いた。



 その涙を拭うようにペロと舐める。



 ぴくっと微かに反応する三雲に益々手は出したくなる。




「…ンンっ……ふ…ぁ」



 王様に欲求を抑えるとかいう気なんかさらさら無い。僅かに開いてた唇に舌を差し入れて遠慮も躊躇も無く深く口付ける。角度を変えて重なる唇にちゅくと唾液の交じる音が何度も繰り返えされると、夢か現実か判別がつかないまま三雲が目を開けた。



 ぼんやりと見上げた先には持田の顔がある。




 夢…か?




 持田さんこの頃練習来て無かったからな…。




 久しぶり…。





 ぎゅう、と半分以上寝たままの思考の三雲が首へと腕をまわしてきて持田がそのまま三雲へと覆い被さる。自分で引き寄せておいて何だが急にずしっと体重がかかり三雲はハッと目を覚ました。




「持田さん!?」




 何で乗っかってるんだ!?(←自分で引き寄せた自覚は無い)





 つか、何でまた家に居るんだこの人!?(←持田に好かれてる自覚も無い)





 って何で抱き着いてんだ、俺!!?(←やっぱり無自覚)




 ばっと慌てて手を離す三雲の手を追い掛けるように持田が捕まえる。




「あんまり可愛い事ばっかしてると、ちっとやそっとじゃ済まさ無ぇぞ」




「……は…い?」





 何やったんスか、俺……。(←完全に無自覚)



 何をしたのか怖くて聞けない。持田が何だか機嫌良さ気なのが何気に余計怖い。




「ライオンは一匹のウサギ狩るにも全力で、って言うしな♪」




「…は??」




「覚悟しろよ?」




 ニヤと笑う持田にびくっとなる三雲。





 あ、マジで兎みてぇ…。





 今、正にライオンを目の前にした兎で無ければこの恐怖はわからない。





 あれ?…恐怖?





 何でか頭に疑問符を浮かべ小首を傾げる三雲は持田から見れば小動物みたいに見えた。















おわり
 
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