本3 その他CP

□不本意ながら
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モチミク





「不本意だ」




「……………」





 片腕を頭に当てベッドへ横になり言葉通り不本意な表情をした持田が、




 三雲の家にいた。




 ちょっとコンビニに行ってる間に他人の家にも関わらず堂々と君臨してる王様に三雲もさすがにげんなりした。




「持田さん…何で家に居るんスか」





 いい加減不法侵入で訴えても良いだろうか、いや王様だから他人の家に勝手に入っても大丈夫な特権があるのか、…ってそんな訳無いだろ。




 ↑三雲は混乱している。





「椿君に会った」




「………………」




「さっき、偶然」




 だから家へ来たのか、いや来る理由にならない。何かあった…、と考えるのが妥当か。何にしろ持田の真意はわからないまま三雲はベッドに横になったままの持田を黙って見返した。




「脚…悪いのかって聞かれて」




「悪いよって言ったら」




「サッカー出来なくなったらどーするかって聞かれて…」





「動くんだし、良くても悪くても使うだけだし…最後に笑えるようにプレーさせてくれっつったら何か落ち込んでたけど」 



「それ見たらつい、キスしそうになったんだけど」




「えっ…」




 ぽつぽつと持田が話すから三雲もぼんやりと話を聞いていたが、どういう話の流れだ、と慌てて持田を見る。




「頭にお前が出てきて出来なかった」




「は?」




「不本意だ!!」





「………っ…わ」




 服をぐいと掴まれベッドへ押し倒された。




「勝手に出て来るなよ」




「…は?………す、すみません……」




 押し倒されてベッドへ張り付けられて持田から見下ろされて、口からはつい謝罪の言葉が出た。




「謝るなよ」



「……………」




 かと言って反論でもしようものならそれはそれで怒るんだろうな、そう思い三雲は黙って持田を見た。




「あーあ」




 何か言い返した方が良かったのか、まだ椿との事が頭に過ぎったのか呆れたようながっかりしたような口調でつまらなそうにため息をつく持田は三雲から離れその横へとゴロンと寝転がった。




「…持田さんかサッカー出来なくなっても…」



「…あ?」




「それでも俺はサッカーを続けるけど…」





「持田さんと最期まで一緒に戦いたいです」




「…………………」




 ゆっくりと言葉を繋げる三雲からの予想外の台詞に驚いたのと三雲のくせに生意気な、なんて思ったのと…あとはほんの少し嬉しかったりして持田はぐにと三雲の頬を掴んだ。



 意外とほっぺた柔らけぇ、と常々思っているがここでもやっぱり三雲のくせに、と強めに掴んでしまう。



「じゃあ、死ぬ気でついて来無ぇとお前から潰してやる」




 頬を掴まれ内心痛いっす、と持田を見上げる三雲は、そう言って笑う持田がいつになく穏やかに見えた。




 










おわり
  
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