本3 その他CP
□赤いチューリップを貴方に
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堀田Side
オフで練習に行かないとその姿を見ないから、何となく物足りない気がして石神に会いたくなった。
翻弄だし人の話も聞かないけど、いつも呼ばれもせず家に来る石神が嫌じゃ無い。
「…………………」
良く考えたら、自分から会いに行った事無いかも…。いつも向こうから来てくれるから。
そんな事実に気付いてじゃあ、さっさと出掛けてしまおう、とかなるのかも知れないがそういう訳にはいかない理由が今日はあった。
「”愛の告白”とか…冗談みたいだな」
今朝のニュースで赤いチューリップの花言葉がそれだと見てしまい、昨日何となく考えも無しに衝動的に買ってしまったものを横目で見た。花瓶なんて無いから使って無かった硝子のコップに活けてある。
ベッドに仰向けに倒れて、かぁと活けられたチューリップ同様赤くなった顔を手で押さえた。
何で買ったのか、とかこれを選んだ理由は自分でも良くわからなくて、大体男である石神に…と考えると花を贈るなんて…
「…無ぇよな…」
時計を見たらもう直ぐ昼だった。いつものオフならとっくに遊びに来てる石神に今日は来ないな、とため息をついた。
「………………」
活けてあると言っても昨日の夜買ったばかりだし、今どきだから切られた先にジェルの袋みたいなものがついてて水分が長持ちするようになってるから、水も張らずに入れてあるだけの赤いチューリップを玄関の靴箱の上に置いて、手早く準備を済ませて出掛ける事にした。
有り得なかろうがこのまま萎びさせてしまうのは勿体ないともう一度チューリップを眺めて、勢いで出掛けないとまた迷ってしまいそうだった。
会いたかったり、花買ってみたり…相手は石神だというのが少し不覚というか悔しくて、石神に知られたら絶対にからかわれそうな気がした。
ピンポーン
靴も履き終えたところでチャイムが鳴った。このタイミングで、と軽く出鼻をくじかれた気分になったがインターホンまで行くのも面倒だったからそのままドアを開けた。