本3 その他CP
□赤いチューリップを貴方に
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石神Side
オフだったから、ぼーっと何となくTVをつけて見ていた。毎朝一応つける朝のニュース番組が今日は時間を気にせずのんびり見れるから気楽だ。
まぁ、いつも気楽に見てるけど…。
キャスターのお姉さんが(と言っても年下だが)今日も綺麗だなぁ、なんて30代独身男として軽く癒されながら見ていると、いつもは練習に出掛けてしまうから見ない最後のコーナーに差し掛かる。
『今日の花言葉のご紹介はこちらです!』
綺麗なキャスターが持つと絵になる。
『こちらの赤いチューリップの花言葉は”愛の告白”です!』
素敵ですね〜、とにっこり笑うキャスターを見ながら石神は花なんて贈る相手いねーなぁ、と苦笑した。
「…………あ」
そんな事を考えていると、ふと堀田が頭に過ぎった。
「………無ェか」
確かに堀田は可愛いし大好きだが(←病)、花を贈る相手かって言うと…つか、渡したところで呆れられ兼ねない。
だけど
外を見たら爽やかに天気が良かったから、連絡も無しに堀田の家に行く事にした。
連絡も無しになんて行くのはいつもの事だけど怒るかな。呆れた顔をしながらも追い返さない堀田に甘やかされてるのを実感してる自分は確信犯だな、と石神はついニヤけてしまう。それに出掛けてるかも知れないし、会えなかったら仕方ない、とアタリかハズレか運任せで堀田の予定は気にせず向かう。
その方が会えたら嬉しいし。
車でクラブハウスまで行って駐車場へ車を停める。路駐するよりここへ車を置いて歩いて堀田の家に行くのが一番良い。直ぐ帰る気も無いし。と車から降りて堀田の家へ歩きはじめる。
何の気無しに歩いていたら、こんな所にあったっけ?と思ったが、今朝のニュースのせいで花屋が目に止まる。
「…無ェよな」
ぽつりと呟きながらも花屋の前で足が止まる。
「…無ェし」
ひょいと赤いチューリップを取って店員に渡す。
「…無ェって」
赤いチューリップを片手に店を出た。
「………………」
何やってんだろうと苦笑しながら、躊躇いはあるが後悔は無かった。
堀田の家はもう直ぐそこだった。