本3 その他CP

□暖かいです ゴトタツ編
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ゴトタツ





「はーさみー」



 クラブハウスのテラスでシャツにいつもの上着を羽織っただけの格好で達海が白い息を吐きながら言う。


 東京にしては(してはとか言うと…以下略)…降った雪。季節はまだまだ冬真っ盛りで寒い。


 寒いのは苦手だが何となく来てしまい、早々に寒さに後悔する。とはいえ真っ白な景色に寒くて仕方がないが新鮮な気持ちになる。


 はぁと白い息を吐き冷たくなった耳を手で温める。真っ白なグラウンドに視線を向けると若手3人が目についた。


 雪ではしゃげる歳なのかとか、オフなのにわざわざ来たのかと呆れつつも微笑ましくて口元は緩んだ。



「こんなところに居たのか。ってまた…寒がりの癖にそんな薄着で」


 背後からの聞き慣れた声に振り向く事も無く達海が「後藤、真っ白」と言うとその横へと後藤が来て同じ景色を臨む。



「よく降ったよな」


 寒さでコートをぎゅと閉めて後藤が下を眺めると達海と同じく若手3人が目につく。(ジーノも居るが二人の位置からは死角)



「元気だなぁ」


 考えてみると3人とも自分より一回り以上年下である事に気づいて後藤は苦笑した。



「何かアイツら見てたら歌思い出した」


「ああ、”庭かけまわり”ーか」


「そーそー」


 何だか可笑しくて二人して笑う。


 しかし、寒さで達海がぶると震えるのがわかり、はっとなる。



「風邪引くぞ。中入ろう」


「…ん−、後藤…コート貸して」


「え……っわ」



 貸してと言いながら後藤ごとコートを引っ張り達海は自分へと寄せる。そのままコートを着てる後藤を背にして、自分ごと開いてた前を閉めた。


 二人羽織りのような状態だが当然、後藤の顔は出てるので達海の耳へと息がかかる。暖かいけど擽ったい。



「もっ…擽ったいって。後藤、息するな」


「無茶言うな」


 首を振り少しだけに暴れるのを抑えて文句を言いながらもコートから出ようとはしない達海に後藤は笑みを零す。コートが開かないように達海を引き寄せ抱きしめる。



「身体、すごく冷えてるぞ」


「…あっためてくれんなら中入る」



 コートの中でぼつりと甘えた声で誘われる。達海が後ろ向きだったから良かったが、正面を向いて言われたら即答しそうだった。こんな朝っぱらから…と理性を何とか保つ。



「…健全にあいつらに混じって雪で遊んで来たらどうだ?」


「嫌だよ、冷てーし」



 誘いを無視されて拗ねた様にそう言うと無理矢理コートの中でもぞもぞと向きを変えて後藤と向き合う形になる。腕をその背にまわして「後藤あったけぇ」と首筋に顔を埋めて懐いてくる。


 達海が動くので後藤が腕を緩めたのでコートが開いて今は達海の背が冷たい空気に曝された。「寒いから閉めて」と達海が言うと再びぎゅと抱きしめる様に後藤はコートを閉じた。



「って、こら、達海っ」


 後藤が言われるままに従っているのに気を良くした達海が、悪戯っぽく笑い顔を埋めてた首筋へちゅう、とキツめに吸い付いてきた。一回だけならまだしも何回も。


「達海…シャツで隠せないとこにつけるな」


「ごとー、寒い」


「あのな…」


「あっためてくれんなら中に入る」



 今度は正面から目を合わせてそう言われ、贖えない事を悟り後藤はため息をつく。


「わかった、俺の負けだ」


 というか時間も場所も気にしなくて良いならとっくに手を出してる。



 後藤の降参する台詞に、にんまりと満足そうに達海が笑う。


 理由はともかく部屋に戻る気になってくれた事に後藤は一先ず安堵して達海の目尻に触れる程度に口付けた。「んっ」と達海が目をきゅと閉じる。



「…お前良くここにキスするよな」


 少しだけ達海の頬に朱がさす。照れてるのがわかって後藤が目を細めた。



「猫みたいな顔して可愛いんだ」


「恥ずかしい事言うな。…じゃコタツはねーからベッドへ丸くなりに行くか」



 庭駆け回る犬達の声が聞こえる中、猫はコタツ(いやベッド)へと丸くなりに(いやイチャつきに)向かうのだった。











「あーでもこっから出たくねー」


「(俺はコタツか)じゃあどうやって部屋に行くつもりだ?」


「このまま」


「無茶な」





おわり
 
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