本3 その他CP
□教えて下さい!
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サカセラ
「俺、馬鹿だし色々わかんない事多いんで堺さんがたくさん教えて下さいねっ」
「−−−−−−−っ!!」
ガラにもなく堺は飛び起きた。心臓がバクバクして軽く汗もかいている。
(夢か………なんつー夢だよ…)
上気した頬
潤んだ瞳
甘えたような表情で…
…………裸……だったかも……?(記憶は飛んだが)
「………っ!」
思わず枕へと突っ伏した。
(…大丈夫か、俺)
まとまらない思考はただ混乱するだけでそれもキャパを越えるとあっさりショートした。
暫く考える事と共に動く事も放棄して止まっていると、携帯のアラームが鳴り情けないが少しびくっとしてしまった。
アラームを止めて起き上がり、ふと外を見れば爽やかそうな空にため息が出た。
(そんなに飢えてんのか)
現状に満足してるとは言い切れないが、人にはそれぞれペースもあるし、軽いキスくらいなら何度もするようになったし、どうも子供に見えてしまう恋人に少しずつ進めば良いか、と決めた矢先に見た夢はそんな気持ちとは裏腹で、堺はまた一つため息をついた。
飛び起きた時に殆ど飛んでしまったが、ぼんやり覚えてる見上げてくる熱っぽい瞳とか、子供みたいな癖に色っぽい吐息とか、まだ現実では見てないのに生々しく思い出し…再び思考はパンクした。
「だ−−−−−っ!!」
とにかく忘れてしまおうと、作り置きしてある栄養バランスの良い朝食を手早く済ませる。
「何なんだアイツはっ」
上記の台詞から察するに、冷静な堺にしては珍しく混乱は尾を引きそうだった。
そんなこんなで早めに練習に来てしまった堺は着替えも済ませてロッカー室のソファーに座り目を閉じた。気持ちを切り替えるのと落ち着かせるのが目的だったが、一向に消えてくれない夢のビジョンに眉間に皴が寄る。
(アイツの顔見んの嫌だな…)
そう思っていると勢いよくドアが開いた。
「おはよーございま〜っす!あっ、堺さん!早いっすね!」
「せ、世良…」
いつもなら割と時間ギリギリに来る世良が今日に限って早く来た。「俺が一番かと思ったっす」と一番になりたかった世良が少し残念そうに話す。思っていたより早い世良の登場に気持ちはまだ落ち着いて無いが悟られないように、と堺も口を開く。
「一番だと思ってんのにあんな盛大に挨拶して入って来るなよ、誰もいねーぞ」
「や、家帰ると誰も居ないのに、ただいま〜って言っちゃうのと同じっすよ」
呑気に笑う世良に何となく後ろめたい気持ちになる。「今日もお前は元気そうだな」と言えば「今日は早く目が覚めたんでジョギングまでして来たんすよ!」と明るく返された。
そして何か意味深な笑いを浮かべてくっつくくらい近く堺の隣へ寄って来る。