本3 その他CP
□ETU花粉症事情
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ガミホタ
「くしゅん」
石神がロッカーのドアを開けたと同時に聞こえてきたくしゃみに音の主を確認してみれば、ドアが開いた事に振り返る堀田がいた。
見渡す限り他に誰もいないので今のは堀田だったのかと体格の割に可愛らしいくしゃみに口が緩む。
「可愛ーいくしゃみすんだな〜」
「馬鹿言わないで下さい」
からかう石神の台詞に言い返してまたくしゅんと何度かくしゃみ繰り返す。振り返った堀田は少しだけ赤い目をして潤んでて、ぐすっと鼻を鳴らして良く見ればその表情はとろんとしていた。
「………誘ってんのか?」
「誘ってませんよっ」
鼻声で返ってくるツッコミはいつもより可愛らしい感じがして石神はついにやけてしまう。
「花粉症か」
正解だろと笑う石神に この時期だし誰でもわかりますよと思いつつ口には出さず鼻にティッシュを当てて堀田が頷く。
「大変そーだなぁ」
「…ガミさんは大丈夫なんスか?」
「俺はヘーキ。因みに椿と黒田も平気だ」
椿は田舎育ちだし、黒田はまぁ…平気だろうな(理由は無いが)、と言われた面子に納得する。
「あと、ジーノも花粉症なんて僕には必要無いねとかオプションみたいに言ってたし、堺は気をつけてるしな」
気をつけてどうにかなるもんじゃ無いだろうが堺は健康オタクぽいとこあるし、と石神が笑う。
「逆に世良は花粉症だ。赤崎も意地っ張りだから絶対認めなかったけど花粉症だな」
現代っ子だからな、と根拠があるんだか無いんだかわからない補足に何故か納得してしまう。赤崎の意地っ張りなのも想像出来てしまい可笑しい。
「あと監督とー」と続ける石神に何でそんなに詳しいのかと驚く。微妙に怖いがそれだけチーム内を気にしてるのだと思うとすごいなと感心する。
そんな会話をしてる間にも痒かった目は腫れぼったくなり、喉も痒いし、くしゃみのし過ぎで頭もぼーっとしてくるし辛い。
「もう今日は帰って寝ます」
ぼんやりする頭でそう言い堀田が立ち上がる。タオルで鼻を押さえてぐすぐすさせるのが何だか可哀相になる。
「一緒に寝てやろうか?」
「………………いいっス」
「…………………そっか」
(…う゛…)
帰る為にドアに手を掛けたとこだったので石神の顔は見てないが声色が残念そうな、寂しそうなのが気になった。
振り返らずに答える。
「…傍にいるだけなら…いてくれると嬉しいっスけど…」
小さくぽつりと言ってみる。ふわふわした思考で弱ってるというか麻痺してるとしか思えない自分の台詞に堀田が頬を赤くする。
その声を石神が聞き逃すハズも無く照れる堀田を後ろからぎゅうっと抱きしめる。
「誘ってんのか?」
「誘ってませんよっ」
と、言うわけで石神付きで帰宅する堀田だった。
ガミさんに甘いって俺!(←悩み)
おわり