本7 その他CP

□UNDER タンザキ編
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タンザキ




「いいな〜」

「………ッ…!」

自宅にて大人しくサッカー雑誌を眺めていた筈の先輩が急に腰に手を滑らせて来たかと思えば、その手はするりと腹部へ回して来るので赤崎はビクッと体を跳ねさせた。
不意とはいえ赤崎にとっては狼狽える姿を見られるのは屈辱に近い。”カッコ悪い”姿は極力見られたく無いのだ。故に目尻を吊り上げ丹波を睨む。

「何すんスか‼︎」

「だってさーお前、前より絶対筋肉ついてんじゃん」

「…だ!…ッ…ッ!」

「着替える時に見てから気になって気になって」

赤崎に睨まれた丹波だが怯む事無く遠慮も無しに腹部を撫でて来た。擽ったい様な気持ち悪い様な感覚に赤崎は思わず声が上がる。

「うわ。刺されそう」

「マジでそーしたいス」

二度目の睨みは、先程と比で無い冷たい視線ももれなくついて来たので丹波が苦笑する。

「まぁ、愛があれば刺されてもイイか」

「…何、馬鹿言ってんスか」

懲りない先輩の発言に赤崎が呆れ気味に溜息を吐いた。怒る気も失せてしまった赤崎はこれが丹波の作戦じゃないだろうな、と横目に話を続ける。

「で、何なんスか急に」

「いやー、細いのにちゃんと筋肉あって羨ましいなーと」

「30越えのオッサンと比べ無いで下さいよ」

「…ヒドイ。つか、細いなー」

「…ッ!な、撫でんな!変態!」

両手で腰に回された丹波の手がもぞもぞと腹筋を確かめる様に動く。体を預けてる丹波の体温を背に赤崎は多少なりとも上がった心拍数が丹波にバレやしないか暴れて誤魔化す。それに、首筋に当たる丹波の髪も擽ったい。

「つか、あんまり細い細い言わ無いで下さいよ。貧弱みたいじゃ無いスか。普通スよ!」

「あれ?気にしちゃった?」

背中で笑う丹波に赤崎が小さく別に、と返す。拗ねた様な横顔が何だか可愛く見えて丹波は口元を緩めた。

「いいな〜って言っただろ?羨ましいんだよ、俺は」

「ビール飲み過ぎなんスよ」

「やっぱそー思う?」

だよな〜と軽い口調でそう笑う丹波に、分かっているならもう少し控えろと内心に溜息を吐いた赤崎は暫く間を空け、背に懐く丹波から体をずらしクルリと向き直る。

「…言う程別に体型悪く無いスよ」

素っ気無い口調ではあったが、今まで自分が触れていた赤崎に逆に腹部に伸ばされた手に丹波は目を丸くした。

「何スか?」

「ん?赤崎が触って来るなんて珍しいなーと思って」

「…丹さんだって気にしてるからじゃ無いスか」

「そっかそっか♪」

にんまりと笑い丹波が再度赤崎の服に手を掛ける。

「手」

「折角だから色々確かめよう」

「はァ?」

ピシリと言い放った後、睨みつけてみたのだが全く効果が無い丹波の態度に実は睨めていないんじゃ無いかと赤崎は顔を顰める。一応、と眉間の皺を確認してみたものの自分の顔は見えないので分かり難い。後々、効果を確かめられるのは世良か椿辺りなのだが飛んだとばっちりである。

「…何をスか?」

眉間に皺を寄せたまま尋ねると、丹波は天井へと視線を向け再び赤崎へと視線を戻しにんまりと笑った。

「……………筋肉の…具合?」

「……………」

頭を抱えた赤崎に、オッサンが!なんてツッコミを受けつつも何だか楽しそうな丹波だった。






おわり
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