本7 その他CP

□NUMBER.
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ガミホタ





「今日で5月も終わりだし、折角だから俺の好きにして良いかな?」

練習後、堀田の家に来て寛いでいる石神が飄々とそんな事を口にする。
石神がETUに入り"5"という数字を貰ってから随分長くなる。拘り等特にある訳では無いが、この番号を背に戦って来てこれからもそうであると思うが故、当然愛着も深いし私生活でも番号を選ぶ時は何と無く5に目が行く事が多くなる。
それで5月のカレンダーを眺め暫く大人しくしていた石神を隣で見ていた堀田は石神の台詞を予測し無いでも無かったのだが想定通り過ぎて苦笑した。苦笑の理由は石神の台詞に対してか予測出来てしまった自分にか或いは両方か…、何にせよ付き合いの長さを何気に実感した。

「折角だから…って、ガミさんは何時も好きにしてるじゃ無いですか」

サクリとそう言って見たが、カレンダーを見たままの石神は一点を見つめ返事が無い。堀田も今更返事が無い位で石神を伺う事も無いから、もう一度自分もカレンダーに視線を戻した。

「堀田君」

「何ですか?」

漸く石神が口を開く。マイペースなこんな間に堀田も慣れてる。そして石神の声色で少なくとも自分には良からぬ事を提示されるのも予感した。

「ちゅーして欲しい。ほっぺに♪」

「は?」


…予感しても、対応までは出来無かった。

時を止めた様にポカンとする堀田を石神はニンマリと眺めた。その視線に、はっとなり堀田は一つ咳払いをすると脳内の再稼動に努めた。




「…いや、ガミさん…何言ってんスか…。つか、じゃあ8月は俺が好きにして良いんですね?」

「堀田が俺を好きにすんの⁈」

「喜ば無いで下さいっΣ!」

それは、嫌。とか言われればこの話は御開きに出来るのだが、如何せん楽しそうに笑う石神に、堀田が慌てる。いや、ガミさんはこういう人だ、と納得もしたが…。さて置き、別にどっちがどう、とか考えた事は無いがそれを考えると迷走しそうだ…。別にそういう事ばかりじゃ無いだろうけど………って何の話だ…、考えを飛ばす様に首を降る。堀田がやや迷走ルートに足を踏み入れ掛けた時、石神から軽い声色で話掛けられた。

「いーよソレで♪」

「…え、…何が……?」

キョトンとなる堀田を見て石神がニヤリと笑う。内心を見透かされている様で堀田は迷走ルート散策は辞退したいです、と少しばかりたじろいだが石神が深く追及して来る事も無かった。

「堀田君は俺の事甘やかすの好きだから8月もきっと俺の好きにさせてくれるから♪それでいーよ」

「…何スかそれ。…じゃあ結局何時も通りじゃ無いスか」

石神の台詞を聞き自分が相当おかしな事を考えたな、と堀田は眉を下げた。そういう意味か、と安堵し笑って返答すると今度は石神がキョトンとする。

「何時も通り…か」

ぽつりと独り言の様に呟く。やっぱり堀田は俺に甘い、と口元が緩んだ。

「何ですか?」

「何でも無い。つか、遠慮無くどーぞ♪」

「…え」

石神が自分の頬を指でトントンと指し堀田を促す。

「あの、ガミさん」

「何?」

「頬…は異様に照れるんですが…。口にじゃ駄目なんですか?」

口篭り乍もそう答える堀田に、何はともあれシてくれるのは了承なのか…、と堀田の甘さに石神の口元は益々緩む。
困り顔の堀田を見て、緩んだ口元を押さえ石神は宙に視線を送り考える。…素振りだけ。


だって、困ってる堀田君が可愛いんだもん♪(笑)


「ほっぺが良いなー♪」

「………ぅ」



シて貰えたらそりゃ嬉しいけど、無理強いするつもりはさらさら無い。"言ってみただけ"というお手軽な煽りだ。目の下を僅かに朱に染めた堀田が一生懸命悩んでる姿が妙に可愛いので、もう暫く堪能させて貰おう…と、お気楽に、今日も堀田に甘やかされている石神である。




おわり
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