本7 その他CP

□HANABI-タンザキ編-
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タンザキ ※裏 注意!




「…ふ、……んン」

重なる口唇は背筋にジワリと電流が流れて来る様な感覚を齎した。意識が離れそうでフワリとして眩暈する。いつもなら多少なりとも抵抗してみるのに…気持ち一つで大分違うもんだ、と赤崎は片隅に過ぎらせた。甘受してしまうのは其の所為だ、と内心言い訳する。
そうなってしまう程、素直に嬉しくて仕方無かった。後輩からの電話一つで先程までの気持ちの靄は爽快といっても過言で無い位に消し飛んでいた。


赤崎は自宅にて、U-22の代表選手の発表結果を後輩からの電話で待っていた。聞きたいけど聞けない…なんて己のココロの在処に惑い至った現在にベランダの手摺を両手で握り込んだ儘、頭を下げ唸る。しかし、勝手で単純だが嬉しさの方が上回るから即座に顔を上げ、振り返った。部屋には丹波が居る。自分で呼んでおき乍、何て不躾な態度だったのかとそれも一応、内心反省する。
丹波はにんまりと笑みを浮かべた。矢張り赤崎は単純なのだと周りの方が良く分かっている。本人は自覚してい無い様で、態度で結果等明らかであるのに赤崎が自分へと話したくて落ち着きも無く慌てる様にサッシ戸を開ける姿が丹波には何とも微笑ましく見えた。

ヒョコりと、丹波が先に外へ顔を出す。夜とはいえ外気の暑さを一瞬感じたが発表の結果に嬉々として自分に飛び込んで来る赤崎に、この程度の暑さは二の次だと押しやる。"カッコつけ"な後輩がこんなに素直に喜びを表現するのも珍しく、普段との違いに密かに顔を緩め乍、丹波もしっかりと赤崎を受け止めた。本当に嬉しそうに喜ぶ後輩が自分も嬉しくて、赤崎が口を開くなり言葉を発するより先に丹波が唇を塞いだ。
言葉を塞がれて少々憮然とした赤崎は更にピクリと眉を顰めた。咥内には僅かにビールの味がする。



「…ん、…ぅ」

背後で花火の音がした。
前には丹波。離れ無い唇に翻弄されて赤崎は其の儘ペタリとベランダへ座り込んだ。ベランダには足への負担を配慮してかクッション性もあるシートがベランダの間取りに合わせて敷いてある。というよりきっちりと嵌め込まれていて、滑り止めも勿論考えてあるその上へ足を踏み入れた丹波は赤崎らしいなと俄かに思う。崩れて行く様な赤崎に合わせ丹波も身を屈め、コン、と缶を置き漸く唇を離した。

「…っ、も…。丹さん…っ」

少しだけ息を荒げた赤崎が丹波を睨む。一言文句を言ってやろうとしたが、穏やかに微笑まれ赤崎は何も言えなくなりフイと横を向いた。

「おめでと♪」

口角を上げて丹波が嬉しそうに笑う。何の事か等分かりきっている。話をして無いのに何で結果が分かったのか…分かりやすい自分の態度に未だに気づか無い赤崎は小首を傾げたが、今はそんな事は如何でも良かった。

「ま、まぁ…当然の結果スけどね」

当たり前を装いそう口にするが、結果に安堵した赤崎の頬の紅潮振りに丹波は至極穏やかな気持ちになる。普段なら生意気な後輩め〜なんて首に腕を回してやるのだが、そういうからかう様な気分では無かった。
赤崎もそう来るのが常時であると身構えたが、丹波がにこにこ笑って自分を見遣うので赤崎もそれ以上は照れ臭い感じがして言葉に詰まった。

「何か凄ぇ嬉しい」

そんな言葉通り嬉しそうな丹波に、他人事なのに…と赤崎は肩を竦めた。

「俺の事なのに随分喜んでくれるんスね」

「うん。他人の事でこんなに喜べんのは愛だよなー」

「良くそんなコト平気で…、…いや、まぁ…でも……ありがとうございます」

「あれ?何?素直じゃん」

「嬉しいもんは嬉しいんスよ」

赤崎がそう言い終えると丹波は先程冷蔵庫から出したビールの缶を一つ赤崎に差し出す。

「祝杯〜♪」

「って、実はアンタもう飲んでるじゃ無ぇかよ」

「お前なら選ばれるって信じてたからなー♪」

「良く言う」

軽口を滑らす丹波に呆れ気味にそう言うと、赤崎は缶を手にする。プシュと小気味良い音がした。赤崎が缶を開けると「乾杯〜」と丹波が軽く腕を伸ばして来て互いの缶が合わさる。

暑さと緊張で渇いた喉に冷えたビールが心地良い。多分、今まで飲んだビールで一番美味いのも確かだ。

花火が何度も上がって空を彩る。二人はぼんやりと花火へ視線を向けた。

「…このベランダの塀高めだけどちゃんと見えるな」

「そうスね」

プライベートと外観を重視したマンションの造りにそういうと、確かに赤崎が選びそうな処だと改めて思い丹波は笑みを零した。座った儘二人は空を見上げた。丹波はそろりと横に目をやる。今の自分には年に一度の花火よりよっぽど気になる。

「赤崎、ニヤけてんな」

「…なっ、だって…そりゃ…」

「可愛いなー」

「何、言ってんスか。黙って花火見てろよ」

「んー」

「……っ」

ビールを飲み終えて床に置くと、丹波は赤崎の手をするりと握る。赤崎が驚いて自分に顔を向けるから、再度唇を塞いだ。

「……んっ」

ぎゅ、と堅く目を瞑るのが、可愛いらしい。生意気な態度の割に緊張してる赤崎のちょっとした態度が丹波の顔を緩めた。初々しいな、なんて言ったら怒りそうで言えないけど…。
ともあれ、拒否も抵抗も無いのを良い事に何度も唇を重ねた。重ねる毎に上がる体温に夜とはいえ外気の蒸し暑さも加算する。思考が麻痺している様な何処か流されてる様な気持ちが脳裏を掠める。

だから触れたいのか?

でも、愛しいから触れたい。

両方の感情を過ぎらせ乍、握った手に力を込める。反対の手は赤崎のTシャツの中に侵入させた。

「……っ、丹さん…っ」

「ん?」

少し汗ばんだ肌に手の平を這わせると、最中の事をつい連想して気持ちが昂ぶって来る。まぁ、するんだけど…。
狼狽する赤崎に何食わぬ顔で笑みを返すと、ぐっと口を噤んだ。何か言いたそうな赤崎に再度問う事はせず、丹波は手の平の位置をゆっくり上に移動させる。そして首筋に軽く口付けると赤崎がびくっと肩を跳ねさせ、丹波の服を摘まんだ。

「ん?」

丹波はもう一度にこりと笑みを向ける。代表に選ばれたのだから身体の事を考え断られるのも密かに覚悟する。

「………する…の?」

赤い頬をして呟く様な花火の音で消えそうな小さな声でそんな事を聞かれる。逸らされた視線のかわりに丹波の服を摘まんだ指は離そうとはせず、了承を口には出来無い何とも可愛いらしい態度に丹波はくらりとした。

「気分良い時にシたら凄いキモチイイと思うよ♪」

「馬…っ……ん、あっ」

丹波の指先が胸の突起を掠めると赤崎がまたびくっと肩を跳ねさせた。確かにそれもあるかも知れ無いと思う。それを口にするとこの先輩は何処までも調子に乗りそうだから言わないけど。
その間に丹波に腰に腕を回され引き寄せられて崩れそうになった赤崎は、体勢を保つのに膝立ちになると不意に丹波の髪が頬を擽った。それにすら、じんと身体が熱を上げて赤崎は少々困惑気味に眉を下げた。

「…っ、ふ…」

丹波は手を止める事無く執拗に胸に触れてくる。如何して良いか思考も働いてくれなくなってきて、赤崎は無意識に丹波の手を掴み胸から引き離す。

「…………」

丹波は動きを止めた。
しかし、手を遠ざけられて残念そうにしたのも一瞬で、ぱちりと目が合うと悪戯っぽくニヤと口角を上げた。

「ン…ァッ」

手が使え無いならコッチでするわ、と丹波が舌を覗かせる。丹波の手を塞いでしまったのを失敗だったと対処するより先に、先程指で好きにされていた場所に今度は舌を這わされて赤崎は力が入ら無くなる。

「…ぁ、…っ…、や、やだ……」

丹波の手を掴んでいた筈の赤崎の手は逆に丹波に掴み直されていた。舌で嬲られた突起を咥内の熱の中に含ませると赤崎の身体が小さく震え出す。それに気付いた丹波は膝立ちした儘の赤崎の足の間に自分の足を割り入れ中心を軽く掠めてみる。

「…ふ、ア…ッ」

ビクッと跳ねた身体と明らかに嬌声ととれる赤崎の声に丹波は僅かに唇を離した。

「りょうくん今日、感度良いね」

「な、…馬、っ…離れろ…っ」

赤崎から離したものの未だ触れそうなくらい近い丹波の唇が言葉を話す度その息遣いがあたり、まだ肌に触れている様な錯覚をする。それに耐えながら赤崎は絞り出す様に反論する。

「もっと触りたい」

「………ッ」

丹波の手が再び赤崎の身体をなぞる様に這わされる。しかし、その手は少しだけ動いただけでピタリと止まった。

「…あー、でも」

「………?」

「身体に負担かけるの分かってるからやめとく?」

低い位置から丹波が上目遣いで尋ねてくる。言葉とは裏腹に熱っぽい視線と残念そうな口振り、…何か狡い、赤崎は口を尖らせる。

数度、花火が上がり少しだけ互いに沈黙する。駆け引きの様な間に先に口を開いたのは赤崎。

「…ん、なヤワじゃ無ェよ」

そう口をついて出た台詞に、赤崎は迂闊だったかも知れ無いと後悔する。

視線の先の丹波が満面の笑みだった。

「…丹さ…っ…」

唇は再度、丹波に塞がれる。絡まる舌に何度と無く身体に痺れが走った。先程の台詞が丹波の箍を外すのに十分過ぎたのは赤崎も反省する。丹波の手が熱い。

「……っ、…アッ…」

スルスルと赤崎のズボンを下げ乍腿を撫でると赤崎の身体がピクリと揺れた。其の儘指先だけは離さず赤崎の身体を伝い自身に触れる。赤崎の機嫌が良かったから遠慮無く触れていた所為か既に濡れて勃ち上がっていた。握り込むと一瞬強張り硬さを増した。

「…ァあ…ッ」

軽く数回扱いてみると赤崎がしがみついて来る。

「ちょ、ま…ッ…丹さん…」

「何?」

「その…何か、……」

赤崎が口篭る。言い難そうではあるが待ってみる。自身に触れてる手は離さ無いでいるから赤崎の身体は小さく震えた儘である。

「…へん、…なんス…何か、感じが…」

「…………」

真っ赤な顔をした赤崎に丹波は目を丸くする。それから悪戯でも思いついたかの様に笑みを浮かべると、赤崎の腰に回していた手を双丘へ滑らせた。

「ぅあッ…!ああー…ッ」

勿論、ゆっくり丁寧に慣らすつもりでいたのだが進めた丹波の指先は思いの外許容したので奥へと進めると、赤崎の身体は大きく跳ねた。

「あ、…っ…」

指を引き抜く際にも大きく跳ね上げた赤崎の身体は、達しているんだと丹波は確信する。

「赤崎、今日ホントに感度良いな」

「…う、煩い…ッ…、ふァ…ッ」

赤崎自身は良く分かってい無い様で丹波にしがみつくのに精一杯である。

「赤崎…」

「あ、あ…っ、や…ばぃ…って、何か、も…ッっ」

身体の震えが更に増した赤崎は呼吸も次第に短くなる。丹波が宥める様に赤崎の頬へ掌を当てると赤崎は、堪える様に目を閉じた。丹波の親指が目尻に触れると僅かに涙で濡れているのが分かった。
今の自分の感覚に如何したら良いか戸惑っている赤崎の視線の揺れに、丹波は宥める様に目尻に唇を触れる。

「…んっ」

触れるときゅ、と瞳は閉じられた。それから怖ず怖ずと開けられる瞳は切なそうに見える。思わず丹波は密かに喉を鳴らす。

「な、何…」

数秒、動けずにいた丹波を赤崎が小さく尋ねる。

「あ、あー…、いや…」

曖昧な返事に顔を顰める赤崎を誤魔化す様に再び目尻に唇を落とす。

「…っ、何なんだよ…」

「なー、赤崎ぃ」

ちゅ、と音を立て何度も目尻やら頬に口付けされる。片目だけ少し開け丹波が何を言い出すのか続きの台詞を待つ赤崎は、丹波の首筋から鎖骨の辺りが視界に入る。何の気無しに視界に入っただけなのに更に身体が熱くなるのを感じて、今日の自分はかなりおかしいと片手で顔を覆った。

「…俺の事欲しがってみない?」




顔を覆う手は更に広くなった。

「馬鹿じゃ無ェの⁈」

「ハッキリ言うなー。さすが赤崎」

「感心されても…」

呆れる様に語尾にかけて口調に気力の無くなる赤崎をお構い無しに、ぎゅうと丹波が身体を抱き込む。曝された肌が丹波に密着すると赤崎がビクッと強張った。

「…ん…、丹さん…」

「な…、赤崎」

「…ッ…」

柔らかく名前を呼ばれただけなのに強く急かされている様な感じがして、正にそうなのも再度自分の秘部へと指を掠めた丹波の態度でも分かる。

「…あ、…っ…んん」

じんと身体が痺れ出すと合わせて震えも再び起き始める。丹波が肌を撫でる度もどかしさで勝手に腰が揺れた。

「ん…っ…丹…っ、さ…」

しがみついて来る赤崎の表情は助けを請う様にも見えた。勝気な後輩にこんな顔をさせてしまった事を、また調子に乗りました、と内心反省する。

「あ、赤…」

「……ぃ…」

丹波の撫でる手を自ら自身に押し付ける。理性との狭間で絞り出す様な小声は耳の側で無ければ聞き取れ無かったかも知れ無い。

「…欲し…い、丹さん…っ」

可愛い過ぎて困る…、密かにそう呟くと眉を寄せた赤崎と目が合う。何も言わず口付け自分もそう余裕は無いが赤崎への身体の負担を考えゆっくりと挿入する。

「…ヤワじゃ…無…っ…たろ」

「ッ、おい…っ」

「んッ、あ…ーッ」

ビクンと赤崎が大きく震える。丹波の思慮も構わず体重を預けると最奥へと一気に刺激が走り赤崎が再度達した。荒げた息で倒れそうな赤崎を支えると丹波は少々呆れ気味に息を吐く。

「お前なー、折角コッチが気ぃ遣ってんのに…」

「…丹…さ…」

「って…大丈夫か?お前」

何時もの勝気な瞳が蕩けそうに覇気が無い。思わず心配になる。

「………足…ん無ぃ」

「……………」

背後で花火の音がした。

大人として配慮がどうの…、

そんなのが外れる音は花火に掻き消されて聞こえ無かった。

…って事で。






おわり
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