本5 その他CP

□認めてしまえば案外楽ではあるけれど
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モチミク ※裏注意!





「…………っ」



 前触れも無く後ろから腕をまわしたら凍結したみたいに面白いくらいピタリと動きを止めたから一緒に思考も止めてんだろうな、と思い…でもそんなの構わずに腕に力を込めれば今度は瞬間的に解凍しびくりと三雲の身体が揺れた。



 そのまま唇を三雲の耳へとなぞるように微かに触れる。その感触は三雲の癖に意外にちょっとハマりそうなくらい柔らかい。



 その耳が一気に赤く色を付けた事に気付いたのと同時くらいに、怖ず怖ずと振り返る三雲と目が合う。




「…っ…持田さん…」



 こういう時はいつもの表情は何処へやら、試合中や練習中はもっと後輩の癖に強気なのにな…案外そういう態度は嫌いじゃ無いけど、今はまるで小動物でも虐めてるような気分になる。まぁ、似たようなもんか…と口角を上げれば三雲のその表情は益々強張った。



 怯えてんのをどうこうするのも趣味の範疇ではあるが、別にそれが堪らなく良いという訳じゃ無い。それに普段だって威圧するつもりは無いのだが結果そうなる。チンタラ試合してるお前等が悪ぃんだよ。…ーあぁ、俺に性格どうにかしろとかもう無理な話だ。



 だからと言ってこんな時はそんなに怯える事も無ぇのに…。



 …捕って食おうとか思ってるからか。



 そんなに表情に出てるのかと自分の顔を押さえてみる。動作はしてもぶっちゃけ気に等して無い。視線は三雲に移動する。口付けしやすそーだな、と思ったから三雲の額に躊躇無く唇を落とす。




「……っ…あ、あの…持田…さん?」





 優しく出来ない事は無ぇんだよ。



 何に対してか対向意識に駆られる。



 真っ赤な顔して驚く三雲にやはり口角は上がった。










「…ぁ…っ…ん、んッ…」



 あのまま背後から胸の突起を弄び三雲自身も反対の手で上下に扱く。目の前にあると衝動的に時折、その首に噛み付きたくなり当然遠慮等する気も無いから、即時にかぷりと食んでみる。歯でも立ててみようかと片隅で思いつつ甘噛みを繰り返す。口を離す度、次は本気で噛みつかれるかも…という緊張がピリと走るようで三雲の反応が面白い。いつに無く色気を帯びた表情にコレも良いな、と思える。




「…は、…ぁ、…っ…」



 微量に残る理性と追う事を止められ無い快楽に震える身体は息をするのも必死で、三雲はその熱を堪えようとしてるのか逃がそうとしてるのか口に手を当てぎゅ、と目を閉じていた。




「…ン、っ…ふ…ぁ、持田…さ…ッ」



 名前を呼ばれる度、気持ちが昂揚していくのがわかった。今、誰がお前の事を支配してんのか良くわかってんじゃん♪、と笑みが零れた。優しく微笑んで見せれば多少は安堵させてやれるだろうが、こっちがそのつもりでもどうも意地悪く見えるらしくグイとベッドへ三雲の背を押し付けて仰向けにさせて上から見下ろすと不安そうな顔をした。



 ぺろりと業と見せ付けるように自分の指を舐めて濡らし再び三雲を見れば妖しく光る持田の艶目と薄っすら涙を滲ませた三雲の泪目とが交わる。ゾクッと身体を震わせ次の行動を予期してか三雲の顔色が変わる。




 何でそう怖がるかな?




 普段の行いの性だと一瞬過ぎったが何となくそれは釈然とせず、三雲の秘部へ指を宛がいながら唇を重ねた。




「んん、…っん」



 ゆるりと其処へ触れて指先で撫でる。そんな柔らかく触れられるとは予想して無かったのか戸惑う三雲の先刻より潤みを増した目が何やら美味そうだと思い嗜虐心が湧くが、気紛れだろうと今は其れを押しやり焦らす様に指を掠めたりしてると、何時迄も緊張を保てる訳も無くふと三雲の力が僅かに抜ける。そのタイミングを持田が見逃す筈も無くぐっと侵入してくる指に、表情を歪めた三雲を見ながら暫くゆっくり中を擦れば次第に声色が甘く変わってくる。まだ狭さを感じるそこを広く柔らかくするのにそれまで何度も宥めるように口付けを繰り返し、どちらの唾液かわからなくなる頃漸く唇を離す。




「…は、っ…はぁ…も、もちだ…さん…」



 長い間交わした口付けに息を切らして見上げてくるのが可愛いらしく見えた。




「…なぁ」




「…ぅ…ん、っ…あ」



 三雲の中を指で掻き回しながらふと尋ねれば、返事は喘ぎ声が先をついて出てしまい出来無いものの三雲が視線をこちらへと向ける。




「お前、俺の名前ばっか呼ぶけど何か他に言う事無ぇの?」




「っ…な、何……を…っ、ぁあッ」



 急に振られた問いに三雲は戸惑い視線を泳がせた。答えを濁すとか…ましてや答え無いなんて選択肢は残念ながら持田に対しては選べ無い上、持田の性格上三雲の答えを気長に待ってあげるとかも無いから三雲は焦りの表情を見せた。




「……っ…く、アッ」



 そんな間にも持田は手を止め無い。それどころか何度も触れている身体の勝手知ったるか悦いトコロを確実に狙い攻め立ててくるから三雲の思考は更に奪われる。




「ん、…や…ぁ、持田…さ…ッ…」



 首を振りガクガクと大きく膝が震える。



「ひ…ぁ!…あぁッ」


 返答の催促に更に指の本数を増やしソコばかりを弄る。本当に返答させる気があるのか疑わしい。更に三雲のものへ少しばかり乱暴に掴み其れを握る手に力を込めると硬さを増して限界を訴えた。このままイっても答えるまで止めてやん無ぇ、なんて悪魔計画を算段しつつ持田は再度唇を重ねる。




「ん、ッ…っ…ン」



 いよいよもう無理だと三雲が朦朧としながら躊躇いがちに口を開く。


開いた口は何度か噤んだが覚悟を決めたような視線と共に開かれる。




「…っ……、好き…です」



 小さく耳元で三雲がそう答える。



 正直、只の意地悪としか考えて無かった問いに直線的に返って来た返答は、冗談めいて笑ってやる事も忘れた。予想外の答えに寸分なりとも動揺したが、それは三雲には悟られ無いようにしてその顔を覗き込む。三雲は真っ赤な顔をして視線を逸らし、さ迷わせた。




「…す、スミマセン…変な事…言って…」




「………別に」



 こういう愁傷な態度を自分しか知らないと思うと気分が良くなる。



 持田の返答は簡潔だったが、三雲からは機嫌は良く見えた。










「…ん、ンッ、…ぁ」



 一度、手撫により絶頂を迎えたところに余韻に浸る間も無く持田が侵入してくる。短い呼吸を繰り返す三雲に合わせ熱に濡れて蕩けた場所へ自身を埋める持田が失礼かも知れ無いが意外な程優しくて、どうして良いか内心戸惑う自分に三雲は眉を下げた。




「…何、変な顔してんだよ」




「…え、……ッ…、んんっ!」



 奥まで挿りきったところで激しく揺さぶられ三雲は身体を引き攣らせた。




「あ、あ、っ…や…ぁッ」




「余計な事考えて無ぇでコッチに集中しろっての」




「ん、んっ、…は、ぁ…持…田…さ…」



 その持田の声も既にちゃんと聞こえてるのかどうか、半ば意識を手放しながらそれでも怖ず怖ずと回される三雲の腕に持田はやれやれと頭を掻いた。




「……おい」



 声をかけながら持田は動きを止め無い。それでも返事をしなければと三雲が必死に視線を合わす。



 なんか…ヤベェな。
 



 三雲を見下ろしながらそんな事を思った。



 何が?



 …わかん無ぇけど。




「…っ……余裕無ぇ…」




 汗が首筋を伝って胸へと流れた。互いの熱がこれ以上無いくらい熱く身体を駆け巡るようだった。何の気無しに思わず口をついて出た言葉に三雲が不思議そうな顔をした。




「…あの…」




「あ?」



 三雲も限界が近いのか尋ねる余裕は無い筈だ。息をするのに上下する胸の動きは早い。それでも何が聞きたいのか、一応耳を傾けてやると一瞬少し息を詰める。




「……えっと…、……その……い、悦い…ん…ですか?」




「………………そりゃ…」



 妙な事を聞かれ変な間と共に返事を返す。「そうですか…」と小さく呟いた三雲が安堵した表情を見せるから「何だそれ」と言いつつ持田も笑った。










「持田さん」




「…あぁ」



 どうぞ、と差し出されたミネラルウォーターに口をつける。冷蔵庫から出したばかりの冷たさが今は心地良い。



 チラリと三雲を見る。



 昨晩の跡を点々と残した身体を見てると再び手を出したくなった。



 途切れた会話に間を持て余す横顔がそれに拍車をかける。



 やっぱ…ヤベェな。



 自覚、しても良いけど。




「お前、俺が好きなんだ?」




「…………えっ?」



俺、そんな驚く様な事聞いたか?


 再び問いてみれば顔色を変える三雲の表情に我慢出来ずに持田は吹き出した。















おわり
 
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