本5 その他CP

□HOLD LOVE
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タンザキ





「良く他人を呼べましたね」




「そう言うな。大丈夫!直ぐ片付けっから!」



 試合後、今日は止めておくという赤崎の断りを振り切り丹波は赤崎と共に自宅へと帰宅した。




 明日は午前中だけの軽い練習なので然程問題は無いのだが、それでも休むべき時には休ま無いと駄目だろう…特に10も年上の先輩は!とか思ったが丹波のペースのまま引っ張って来られて今に至る。



 本当ーに本気で断る事も出来たから自分も少なからず来たかった…のか?と思うのが如何せん悔しい。何が”大丈夫”なのか…せめて冒頭の悪態くらいつかせろと玄関から廊下へあがった所で赤崎は壁に背を凭れさせた。部屋にはまだ入れ無い。



 バタバタと忙し無い音が聞こえる。まだ元気じゃん…と呆れ半分感心半分に音が止むのを待つ。試合後だし疲れていない筈は無いので、その起動力が自分なんだろうかと僅かに頬が熱くなる。別に多少散らかってるくらいは目を瞑ってやっても良いですけど、くらいの事を過ぎらせた頃部屋のドアが開いた。




「お待たせ〜♪」




「…本当ですよ」



 箒と塵取りを手に待たせた反省の色は薄そうな軽い先輩の声に、やはり甘やかしてはいけない気分になる。




「……………」




「何スか?」



 部屋へ入りながら何やらにんまり笑う丹波が視界に入り、赤崎は怪訝そうな顔をした。




「やー、何か待ち合わせしたっぽい会話だなーと思って♪今度デートでもすっか〜v」




「…何言ってんスか………………つか、箒と塵取りって…クラシカルっスね」




「だって夜中にふと掃除したくなったらマンションだとさすがに掃除機使え無いだろ?便利だぞ箒と塵取り♪」



 そう言い笑う丹波に便利なのは掃除機なんですよ、と夜中にふと掃除する気にならないで普段からどうにかして下さい、とかまぁツッコむ所はたくさんあるが、その気楽そうな顔と台詞に赤崎の気は削がれた。



 それに何気にデートのお誘いをされたのはどう応えたものか…さっきまでそこに居たのに、ふと気づくと何処へ行ったのか視界に入らない丹波の台詞に赤崎は複雑な顔をした。



 雨が続いたから部屋のど真ん中に洗濯が吊ってあるのが一人暮らしの男の部屋っぽい。いや、自分もそうなのだが…何かやっぱり丹波の部屋だなーと思う。しかし、何故ど真ん中…。行く末の方向性の角度が相変わらず有り得無いズレを持つ丹波に軽く溜息をつく。



 試合後なのでさっきまで来ていたジャケットをその並びに掛けてあるのは、たまに微妙に几帳面な所がある丹波らしくて、その辺に放置じゃ無かったジャケットにちょっとホッとしなくも無い。



 とにあえず座らせてもらうか、と仕方無しに洗濯の干してある近くまで来る。



 ちゃんと洗ってある…とか当たり前の事だが部屋干しでも洗剤の柔らかい香りがしてる事に感心してしまう。






 つか、これって…




「赤崎ー?風呂沸かしたけど入るー?それとも一緒に−………」




「……………ッ…!!」



 掃除道具を置いて来たついでにお風呂の準備をして来た丹波に背後から声を掛けられる。



 それだけなら別に驚く事も無いのだが、足元にまだ片付けて無かった雑誌が散乱していて赤崎はズルリと足を滑らせた。



 ぎゅ、と思わずしがみつく。




「赤崎君?」




 丹波のジャケットにv




「お前…なんつー可愛い事してんの!?」




「な、…馬…ッ、違いますよッ!」





 丹波からは調度、ジャケットにぎゅうっと可愛く(丹波比)しがみついてる赤崎しか見ていないから顔を真っ赤にして誤解だと訴える赤崎の言葉など丹波には全く聞こえ無い。



 ジャケットから手を離したら次は本人にぎゅうと抱きしめられた。本人の知らない所で所有物にぎゅv(←効果)と抱き着いてる等、何処の乙女だ…と『事故』に頭は上手く働いてくれ無い。しかも、まだ着替えて無いからジャケットは脱いでるが、袖を捲くったシャツに(←お風呂の準備をしてた為)ネクタイもまだつけてて、ちょこーっとだけ普段より格好良く見えなくも無い(←強がり)丹波にそれはそれは嬉しそうに抱きしめられているので益々困惑する。




 抱きしめられて、洗濯物及びジャケットと同じ香りに、これって丹波の香りだと思ってしまった自分の脳内を心配したくなる。






「いっ…一緒には入りませんよッ」




「…え?…何が?」








 ツッコミも遅れた(笑)。















おわり
 
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