本5 その他CP

□線上
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モチミク





 他人事なら大笑いしてやるのに。



 何処かで自覚していたのかも知れ無いが、無視し続けたツケだろうか?




「どーするかな…」



 久しぶりの練習への参加中、チラリと横目で、色々と考え事でもあるのか険しい表情の後輩を視界に入れつつ持田は一人呟いた。










 気付けば一人のグラウンドだった。




「何か皆終わるの早ぇな」



 そう呟き時計を見たら別に皆が早いわけでは無く自分が遅いだけだった。



 随分、没頭したもんだと三雲は頭を掻き手元にタオルも無いからユニフォームで汗を拭う。



 ボールを片付けながら呼吸を調える。




「持田さん…帰ったよな」 



 まぁ、顔が見れただけ良しとするか。



 自分にはどうする事も出来無いし、試合に対する持田の雰囲気を思えば話す言葉すら後輩の自分には思いつかない。



三雲は深い溜息を吐いた。



ロッカー室へ向かおうと視線を其方へ移動させると心臓がギクリと跳ねた。



いや、ドキリとした…筈だ。



「持田さん」



腕を組み壁に凭れかかり何時から其処に居たのか、持田は黙ったまま三雲を見据えている。



「どうしたんですか?」



ロッカー室への通り道だし其処は通らざるを得無い。会いたかった筈だが顔を見たらやはり緊張が強くなり足早に横を通り過ぎる。



「……っ」



グイ、と引っ張られる感じに三雲は目を丸くした。急過ぎて思考がついていか無い。


気付いたら目の前には持田の顔がある。



(…近い……ッ)



心臓が飛び出しそうとか本当にあるよな、とこんな時思う。 俄かには信じ難いが持田から首にタオルを巻かれた。其れを持田が握ったままなので距離が近い。本来胸キュンシチュ?なこの状況も、このまま首締められ無ェか?とか過ったのはバレ無いで欲しい。知られたら本当にそうされそうだ…。


「ん……っ」


結局、ぽかんと動け無いでいた三雲は無言で唇を塞がれる。




「好きだ」








「…………は?」



「あー、自覚してみると案外気楽だな♪」



「え?…え?」



「さー、どうしてやろうかな」



「………」



ニヤリと久しぶりに見たスッキリした持田の表情に何だかちょっとだけホッとする。足の調子が悪くなってからあまり見なくなったその表情を見たら自分もちゃんとそう思ってるんだと三雲も自覚した。


でも、



今のは結局何なんスか…。



つか、 台詞が怖かった様な…。


告白だとはイマイチ思い難い持田の最後の台詞に心臓が早い動きで何かを訴えているようだ。


吊り橋効果とか言うのかもな…、持田を目の前にして三雲はそんな事を考える。



心臓が訴えてるのが警告でも構わない。



これも一種、挑戦みたいなものかと自分の怖いもの知らず振りに驚きもする。


ただ、持田さんも楽しそうだし良いか…。



「…手加減して下さいよ」



「ヤダ」




「………………」



良いか…?



状況としては今までと変わん無ェか。



それでもスタートラインにその足を着けた、そんな感じがした。




おわり
























 
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