本5 その他CP
□酔いに任せて良いんじゃ無い?
1ページ/2ページ
サカセラ+キャラ多
先輩である側から見て、言動が正直で表裏の無い世良は可愛い後輩の一人である。
明るい上、楽観的で、わかりやすく落ち込んでは復活も早い。単純でちょっとお馬鹿な面に呆れたりする事もあるが、それも可愛い後輩の要素である。
同じくらいの後輩達の赤崎や椿も勿論可愛い後輩なのだが、物怖じし無い言動の赤崎や性格上どうしてもオロオロしてしまう椿に比べて気安い感じはある。
そう思うのは自分だけでは無いと、堺も当然わかってはいるのだが…。
丹波「今日は世良も一緒か〜」
堺「しょうが無ぇだろ、来るって五月蝿ぇし」
世良「な、良いじゃ無いスか!たまには一緒に飲みたいっス」
毎度同じく、石神、丹波、堺、堀田の四人で飲みに行く話になったのだが、そのやり取りを横で聞いていた世良が「俺も連れてって下さい!」と言い出した。別に嫌という事も無いのだが、つい面倒臭そうな顔をしてしまった堺に軽く半泣きになり『お願い』というより『駄々をこねた』というのが近い世良が今日は一緒に着いて来た。
子供のような世良に「しょうが無ぇなー」と石神と丹波が半分…いや殆どからかい混じりにそんな世良の頭を正に子供扱いして撫でながら承諾していたのを堺は横目で見ながらお酒に弱いその後輩の心配を密にしないでも無かった。
石神「で、赤崎も一緒だと」
赤崎「ゴチになります」
シレッと返答する赤崎は既に2杯目となるビールを空けようとしていた。
世良「椿も誘ったんスけど、王子に連れて行かれちゃって…」
ジーノ『今日のバッキーは僕に酔うんだから、また今度ね、セリー』
椿『へ?…え?え?』
…何されるんだ、椿…(心配)。
椿が連れて行かれた時の会話を思い出し、余計な事かも知れないが心配しつつ、良くあんな台詞が臆面も無く出てくるな…と軽く顔を引き攣らせながら世良は赤面した。
堺「お前、既に赤いんじゃ無ぇか?」
世良「え?…あああ、いや!大丈夫っスよ!」
顔を堺に覗き込まれ、つい堺さんにそんな事言われたら卒倒するなーとちょっぴり妄想し、目の前の堺に大慌てしながら世良は首を振った。大きく振り過ぎて一瞬くらりとする。
世良「ふぁ、…あ、ヤベ…まわりそー」
堺「何やってんだよ」
堀田「本当に顔赤いぞ、大丈夫か?」
世良「だ、大丈夫っスよ。つか、堀田さんは強くて羨ましーっス」
堀田「いつまでも飲まされるから良い事なんか無いよ」
世良「酒に強いって格好良いじゃ無いスか〜」
直ぐに顔や身体が赤くなる世良にしてみれば、終始変わらず飲める堀田が羨ましくある。苦笑する堀田に羨望の眼差しだ。
世良「って、実はもう皆かなり飲んでません?」
堀田→9(内4杯は石神から渡された)
石神→8
丹波→8
堺→7
赤崎→7(若干ハイペース)
世良→2
世良「早ッΣ!!」
何と無く負けてるというか置いてかれてる気分になり、世良は一先ず目の前のグラスを一気に空ける。
世良「よーし!次、次ッ!」
堺「次じゃ無ぇ!自分のペース考えろ、馬鹿!」
世良「だって何か悔しいんですもん〜」
丹波「よしよし、お馬鹿だね世良君は〜」
世良「馬鹿じゃ無いっス〜」
石神「丹波ー、泣かすとお母さんが怒っちゃうよ」
子供扱いしてませんかっ、と丹波、石神に頭を撫でられる世良は酔いもまわって半泣きの状態だ。誰がお母さんだ!と軽くキレ気味の堺とそれで遊ぶ丹波と石神。端から見てる赤崎は悪巫山戯してんなーと呆れつつ、堀田はどう止めるか悩んでいる。
量から察するに皆それぞれ酔いが多少なりともまわっているのは確かだ。
たまにしかこうして先輩、後輩と飲む事も無いのだが大騒ぎしつつも先輩達が仲が良いのは赤崎もわかってる。丹波と石神にキレ気味の堺もいつもの光景なんだろうと敢えて口を挟みはしない。その性格と言動等に自分の一つだけとはいえ先輩である世良がからかわれているのも、構いやすいんだろうなと、その気安さに未だ子供扱いされ撫でられてるのを軽く溜息をついて眺めていた(今関わると若干面倒臭いとか思ってたりもしてる←笑)。
そんな、たまにしか来ない赤崎でも今日はいつもと違うのを直感的に感じた。
丹波と石神から突き放すように世良の肩を掴む堺が視界に入ったからである。
世良「…ほぇ?へ…?えぇ!?」
堺の表情は真剣そのものである。ついに丹波、石神が怒られるんだと赤崎はやれやれと肩を竦めた。
が、堺からは予想外の一言。
堺「こいつは俺んだ、気安く触るな」
丹波「珍しく酔ってたなー、堺」
堺の男前発言に酔いもまわり卒倒しかけた世良と、発言当人の堺も酔っていたのか発言に対して恥ずかしさも見せる素振りも無く逆に「何か文句あんのか」とばかりに男らしく(色んな意味で)フラフラ世良を連れそのまま帰宅した。
堀田「送って行かなくて大丈夫だったかな、世良も大分酔ってたし…」
石神「大丈夫だろ、堺だし」
丹波「明日の練習、堺に会うのが楽しみだなー♪」
石神「どんな顔して来んのかなー♪」
赤崎「…アンタ達、いい加減にしないと愛想尽かされますよ」
丹波「大丈夫だよ、堺は面倒見良いから」
石神「そうそう、俺達の事放って置けないもんなー」
丹波「なー♪」
赤崎「…それで良いんですか…」
楽観的な先輩二人を呆れながら見て、赤崎は堀田へと確認も込めて視線を送る。堀田も慣れているのか諦めてるのか、それとも付き合いが長い事からの信頼か、気にするなといった感じで穏やかに視線を返してきた。
そういうもんだろうか…、まだまだそんな心境等わかり兼ねる赤崎は首を傾げてグラスを空けた。
おまけ
「堺さん、怒ってるんスか…?」
「あいつ等の悪巫山戯はいつもの事だし慣れてる」
勢いのまま颯爽と店を出た割に堺に怒ってる様子は無い。付き合い長いってスゲーな、と内心感心する世良は足取りも覚束ないまま堺に置いて行かれないように着いて行く。
「…スミマセン、俺も…」
小さな声でしゅんとする世良に堺が振り返る。
「おい」
「え…?」
歩幅と歩くスピードで出来た距離を縮めて堺が腕を伸ばす。その手は声色の割にくしゃりと柔らかく世良の頭を撫でた。
「側にいろよ」
「………っ…は、はい」
態度はぶっきらぼうだが凛々しい表情で普段なら言われ無い堺の台詞に世良がくらりと目眩しながら、でも破顔する顔は抑えられない。
堺の台詞が今の状況か、恋人としての台詞か…でも後者だと都合良く決め込んだ世良。「堺さん大好きっス!」と抱き着きたいが往来なので、その衝動は帰宅まで持って帰る事にした。
おわり