本5 その他CP
□It's all because of you
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タンザキ ※裏注意
我ながら良く手を出さずにきたもんだ、と思う。
自分で言うのも何だが手は早い方だ。好きになったら直ぐ全部欲しくなる。そうしないと他の誰かに取られてしまいそうな気がするから。
でも、横に居る赤崎に手を出せずにいた。
サッカー雑誌の文字を切れ長の細い目で追っている。横から見ても綺麗だなーなんて見とれて視線で若さを吸い取って癒され、幸せな気分になる。
雑誌に集中してるな、と悪戯心にスイッチが入った丹波は、そろりと近づき耳へ軽く口付けた。
「………ッ、だ…っ!!」
バサリと雑誌が落ちる。不意の行為に口付けられた耳を押さえ「何すんスか!」と真っ赤になり赤崎が声を上げる。
「色気無ぇの」
予想以上に赤崎が動揺するから思わず丹波は吹き出した。
「…あるわけ無いですよ」
赤くなった耳を押さえたまま眉間に皴を寄せ不機嫌そうに赤崎が返すと「んー」と丹波が唸る。暫くじっと赤崎を見て、そして「やっぱり十分色気あるわ」とへらっと楽しそうに笑う。何処をどう見てそう返答したんだと、そんな否定はしなくて良いです、とツッコミたくなる丹波の言い直しに呆れ半分に赤崎はため息をついた。
その隙にスルスル伸びてきた丹波の手は雑誌を離した赤崎の手を掴み自分へと引き寄せる。
「……わッ」
決して鈍い筈など無い赤崎だが不覚にも抗う間も無くその上へと抱き込まれる。乗っかった丹波の上は思ってたより広く感じた。
(……う……わッ)
…ヤバイ。
予想してたより逞しい…。
つか、広…。
つか…、
予想してたより…、
心地良い…。
「赤崎?」
いきなり赤崎を自分へと乗せたから即行騒がれると思って内心身構えてた丹波は妙に大人しい赤崎に首を傾げ、名前を呼んだ。その声にハッとなり赤崎は声を上げる。
「……ッ…ちょ、何なんスかッ!」
「今の間って何?」
「……………え」
「意外と悪く無かったって事?」
「……な、訳無いです」
「そーかなァ」
ふい、と逸らされる赤崎の視線。頬は僅かながら赤い。
「………ちょ、…っ…ん」
頬を両手で包むようにして、若干逃げられないように固定され丹波が唇を重ねてきた。
「…ふ…ぁ、…っ…んん」
今まで良く手を出さずに来たもんだ、と思う。(多少は出したが…)
「…は、…ッ…丹…さ…っ」
箍が外れたように唇を重ねる。始めは丹波の身体を押し返すようにしていた赤崎の手も、何かもうどうして良いかわからなくなってそのまま丹波の服を握ったり離したりしていた。
それが普段の赤崎らしからぬ行動だったから、漸くその唇を解放して丹波は口角を上げた。そして丹波の唇は赤崎の首筋へと移動する。
「………ッ…あ」
ビクッと赤崎の肩が跳ねる。少し視線を上げると思わず声を出してしまった事に跋が悪そうな赤崎が口を押さえていた。
「赤崎君」
「…何スか」
「ここは何処?」
「…ハァ?丹さん家でしょ?大丈夫スか?」
「正解!一人暮らしの丹さん家です♪」
「…だから?」
「だから、いっぱい声出しても大丈夫だからな♪」
「………ッ、馬ッッ…!!」
何言ってんスか!!と真っ赤になり赤崎が暴れ出す。それを押さえるのにスルリと丹波の腕が赤崎の腰にまわった。
「うわ、腰細ッ」
「普通っスよ!つか、離せ、変態!」
「やだ」
「………っ」
腰に手をまわされ、もう片方の手で腕を掴まれる。動きがとりにくくなった赤崎のシャツを銜え器用に捲ると今度は胸の突起物を銜える。
「馬…ッ、やめ…っ」
咥内の生暖かい感触と舌の動きに力が入らなくなる。震える身体が自分のものでは無いような感覚で、でも熱が次第に篭って行くのだけはわかった。
「…あ、っん、ん…ぅ」
何で何か上手いんだよ、と赤崎は眉を下げた。悔しいけど抵抗出来ずにすっかり思考は奪われていた。そんな思考を「返せ馬鹿」と内心思いながらも口には出せず、ぎゅと目を閉じた。
「…な、に…しッ、や…馬鹿…ッ!」
カチャリとベルトが外される音に目を開ける。慌ててズボンを押さえたものの丹波の手に自身を掴まれ上下に扱かれる。
「…や、…ッ…ん、ん」
そういえば、試せと言われてから意外に手を出される事は無くてそれに甘えてた気がした。結構気が長いな、何て思ってた。始めは手が早そうだと思っていたが本当に意外だった(失礼か?)。
勘違いか自惚れか…
…大事にされてんのかな…とか。
「ん、…んッ」
だから、丹さんなら…と一瞬でも思ったり…。
「オニーサン経験豊富だから任せとけって」
「…っ、…は…ぁ?」
「はじめてでも怖く無いから」
「馬…、あんま調子に乗んな…っ」
「えー?コッチの経験あんの?」
「無ぇよ!!」
だよね〜♪と丹波がにんまり笑う。心の中を見透かされてるような感じと、墓穴を掘ったと拗ねる赤崎が可愛いくて再び口付ける。
「……ん、…待っ、入ん無ぇって…」
「…大丈夫、力…抜いて」
「……っ…ふ、…ぁ」
トロトロ溢れてる赤崎の先走りを指へ纏わせて丹波がゆっくり指を侵入させてくる。声色が熱っぽくて優しくてゾクリと赤崎が震えた。侵入時痛みが走り顔を顰めた赤崎だったが、宥めるように背中を抱く丹波のお陰か痛みは無い。当然、こんな事するのははじめてだが不快感は無くて、寧ろ…悦いくらいで……。
「…丹さんの馬鹿」
「え、何で?…悦く無い?」
「……………」
「…わけ無いよな♪」
「…丹さん、…の、せい…だ…ッ」
震える手で丹波の服を掴む。手を止めない丹波についた悪態はたどたどしくて効果は無い。
「俺は赤崎が可愛いせいだと思うなー」
「ひぁ…ッ…」
丁寧に解すように動いていた指を一気に引き抜かれると自分の意志とは繋がっているとは思え無いくらいゾクゾクと反応しているのがわかった。不本意だ、と思うのも一瞬で丹波自身が侵入してきて頭が真っ白になる。すんなり入った事に驚きもあったが、それどころでは無い感覚に呼吸は乱れる。
「ふ…あ、っ、ん、んー…ッ」
動くからな、と耳元で囁かれる。既に自身を散々手で扱かれていたせいもあるが声を聞いただけでクラクラした。普段は聞かない丹波の低めの声色にぞくっと身体が震えて自分でも信じられ無いがあっさり限界が近づく。
「…あ、ぁッ」
そんな、赤崎を知ってか知らずかぺろりと耳へ丹波が舌を這わす。
「赤崎、好きだよ」
「…ッ…狡い…っ、あ、…あァッ」
甘ったるく囁かれ、奥へと侵入してくる感覚に赤崎が白濁を飛ばす。くたりと力を無くす身体は丹波に支えられた。
「可愛いな〜、赤崎ぃ」
「あ…んッ」
赤崎を支えながら丹波が更に奥へと腰を揺らす。達したばかりのせいか感度が高くビクンと大きく身体を跳ねさせ赤崎が丹波にしがみつく。
「や、動く…なッ…」
「だって俺まだだし?」
「…ァ、…って感覚…っ、ヘンだか…ら、やだ…ッ」
「それは気持ち悦いって事だって」
「…違っ、あ、…あっ」
逃げようとする赤崎の腰を捕まえて律動を繰り返す。
否定したものの若い故もあるが快楽には従順で反応を再び取り戻した赤崎。当人はもうわけがわから無いといった感じで必死に丹波にしがみついている。ペタリと汗ばんだ肩が丹波の唇に当たる。きつめに吸いつくと赤い跡が残るのに何やら優越感みたいなものがあった。調度、耳の辺りに赤崎の唇がくるから声や息遣いがダイレクトで、丹波もいよいよ煽られる。
「赤崎、イきそ…ッ」
「…ん、っく…ッぁ、丹…さ…」
揺さぶるスピードを上げると互いに限界が訪れる。
はぁ、と荒い呼吸を繰り返してそのまま丹波へ凭れ掛かったまま赤崎は動けずにいた。それを良い事に丹波がぎゅう、と抱きしめてきて頭を撫でている。
「赤崎」
「………」
「気持ち良かった?…ッでっ!」
何聞くんだ、と声を出すのもままならない赤崎は何とか手だけ動かして丹波の後頭部を小突く。丹波からは赤崎の表情は見え無かったが、耳が真っ赤だった。
可愛いーな、もっと早いとこ手ぇ出しとけば良かった。何て思ったがそんな事を口にすれば小突かれる程度では済まないな、と丹波は苦笑した。
「そのうち”丹さん、気持ち悦い”って言わせてやるからな」
「………馬鹿ですか、アンタ」
結局、二度目をくらう丹波。
そういえば前にも似たような事言ってたな、とふと思い出す。
”丹さん大好き、って言わせやるから”
「…………………」
言わ無ぇよ。
悪態は心の中で呟く。
「…怠い」
自分のとは思え無い身体の重みにベッドへと気怠そうに赤崎が転がったまま、ぼんやり丹波を眺めた。
…シちゃった。……////
…ーじゃ無ぇだろ(恥)。自分の思考がおかしくなってる気がした。かぁ、と頬が熱くなり赤崎は慌てて覆った。
「…赤崎」
「…な、…何スか」
「そんな見つめられると…」
「見つめて無いっスよ」
「もう一回シたくなる」
「…は?…人の話聞けよ!…つか、無理……っ…」
起爆スイッチがあるなら多分押したんだろうけど…。
甘んじて受けてやる気は無ぇよ。
赤崎はそんな思考の真っ只中。
おわり