本5 その他CP
□手−ガミホタ編−
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ガミホタ
「こんなもんで良いですか?」
今日は珍しく堀田が石神の家へ来ている。
と、いうか最低でも月イチでは堀田から行くようにしている。(当サイト妄想では)クラブハウスから近い堀田の家へ石神が殆ど毎日のように遊びに来るのが常時だが、それは石神が自分の家へ呼びたく無いというのもある。
何故なら石神は片付けが苦手なせいである。
マイペースな石神に遠慮や躊躇など普段の事なら無い癖に、散らかった部屋へ堀田を呼ぶのは気が引けるらしく石神からは誘われ無い。以前に堺と丹波に聞いてみたらそういう理由だとわかり、最初に石神の家へ行く時は自分にしては珍しく無理を言ったと言うか今思えば駄々を捏ねたと言うのに近かったかと苦笑する。
それから今となっては定期的にこうして堀田が部屋を片付けにやって来るようになったのだ。
「さすが堀田。マジ綺麗だな〜」
片付いた部屋をベッドの上からながめ石神が感心した声で感想を述べる。
本来なら部屋の主として率先して片付けるべきなのだろうが、石神が始めると何故かちっとも片付か無い。堀田に「そこでじっとしてて下さい」とベッドでの待機を言い渡され大人しくしてるのが一番の貢献だと石神は片付けをする堀田を楽しそうに眺めていた。
「堀田、堀田♪」
片付け、掃除も済ませてほっと一息つく堀田へ石神が手招きする。
今度は何を思いついたのやら…、捲っていた服の袖を戻しながら堀田が石神の所へと来る。「何ですか?」と石神の横へと腰掛ける。
「ありがとう」
「……っ……」
照れる素振りも無くいつも通りへらっと笑う石神に、子供でもあやすようによしよしと頭を撫でられ堀田は微かに頬を赤くした。
撫でられたというせいもあるが、うっすらと染めた頬の訳はそれだけでは無い。
「何?」
「あ…、いや…その、結構…この手に励まされてるなと思って…」
「…この手?ってこの手?」
キョトンと目を丸くし、石神が自分の手を指指すと堀田が顔を隠すように口を押さえ頷いた。
「…山形戦の時も肩に置かれたこの手に励まされました」
あの時、必死過ぎて冷静さを欠いてた自分の失態に真っ白になった思考。一度ピッチから離れたものの、自分に出来る事を考える冷静さを取り戻せたのはその御蔭だったと思う。
「かける言葉が思いつか無かっただけだよ。…俺はちゃんと戻って来て激飛ばしてくれる堀田に励まされたけどな」
堀田の頭を撫でてた石神の手は堀田の頬に移動する。
「…俺…、えー…っと」
自分が余程赤い顔でもしてるのだろうか。頬に触れる石神の手がヒヤリと心地良い。
何やら気恥ずかしそうに口ごもり、頬に触れてる手とは反対に堀田は視線を逸らす。
「…俺」
暫く困った表情で、迷ってるようにも見えた堀田がふっと甘えるように頬に触れる石神の手に軽く重みを預ける。
「…ガミさんのこの手、好きです」
真っ赤な顔の堀田に石神の口元が緩む。
「何、堀田君。今日は素直で可愛いーなぁ」
「な、…からかわないで下さい。結構マジで感謝してるんです」
「それはお互い様」
にっと笑い、それに…と石神が続ける。堀田が不思議そうに見返して来るから、ちゅと軽く口付けた。
「…っ…ガミさん…ッ」
「からかってんじゃ無くて、堀田を可愛いと思ってんのはホントだから」
コツンと当たる額。自分を可愛いと言って本当に嬉しそうに笑う石神に堀田は半ば呆れてしまう。
ただ、嬉しそうな石神を見るのは堀田も嬉しくて…。
石神の手を捕まえるように握った。
にっと笑う石神が視界に入ったと思ったら、背中は既に柔らかい感触に預けられた。
おわり