本5 その他CP
□all of a sudden do confess
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タンザキ
気が付くと近くに居る。それがいつの間にか常時だった。
練習後のロッカー室で若手でいつもの馬鹿騒ぎに毎度ながら赤崎が巻き込まれていると、はたとその若手ばかりの中に丹波が混じっているから内心、また居る…とか思っているとそんな丹波と目線が合いニヤリと笑われる。
「また居る、とか思ったろー、赤崎ぃ」
「そりゃ…、つか…よくも一緒になってはしゃげますね」
赤崎とだと10も歳の差がある。他の若手メンバーとも前後はあるが近いくらいある。しかし、そんな若手に混じっていてもはしゃぐその姿は同様で、どうも本当にそこまで歳の差があるとは思えず、呆れ半分感心半分と言った所だ。他のベテラン勢を見ればもっと落ち着いたもので…それを見てしまうと丹波に戻した視線はどちらかと言うと呆れの方が強くなる。
「楽しいもんは幾つになっても楽しーんだよ♪」
そう明るく笑う丹波を見て、きっとこの人は昔っからこのまま変わって無いんだろうな、と赤崎は思った。いつだって明るく、チームが落ち込みがちな時も変わらず場を盛り上げたり焚きつけたり、そういうのは自分には出来ない芸当なので(何か言えばほぼ喧嘩になるから)そこは凄いなぁと尊敬している。
そんな事言い出そうものなら調子に乗られそうで言わないけど…。
「何?」
ふい、と顔を逸らせると回り込むように丹波が顔を近付けてきた。
「悩みが無さそうで良いっスね」
丹波もこの陽気さも良い事ばかりじゃ無いと思う。素直に受け止めればきっと元気が貰えて良いな、とかなるかも知れないが、逆にイラっともなる。どちらかと言えば赤崎は後者なので軽く嫌味も込めてそう口にした。先輩に対して失礼かとも思うがそう思ったところで赤崎に押し黙るなんてしおらしい真似は出来ない。
「えー、悩みくらいあるよ。知りたい?」
「は?いや…、別に…」
「赤崎がどーやったら振り向いてくれるかな〜って♪」
「………………は?」
知りたいと言った訳でも無いのに唐突に告白された言葉に、理解がついていかない。さほど大きくは無い目を丸くすると、にーっこり笑う丹波が視界に入る。そこでハッとなり、まず何て言われたか頭の中で復唱した。
「…変な冗談は止めて下さいよ」
うっかり動揺させられからかわれたんだと、にんまり笑う丹波を赤崎は睨んだ。
「冗談じゃ無いんだけどなー」
軽〜い口調の丹波に、やはり冗談としか思え無い。いや、冗談であって欲しい…。
未だに横では騒ぐ若手。その騒がしさでの幻聴だった…って事で済ませたい。
だって…無いだろ。
こんな展開。
眉間に皴を寄せて怪訝そうな顔をする赤崎に、そんなのはお構い無しに丹波が隣へ来る。
「何で隣に来るんスか」
「隣に居たら好きになるよ」
「……………無んないっスよ」
否定されてるってわかっているんだろうか?丹波は変わらず楽しそうに笑っていた。
おわり