本 ジノバキ
□遊ぼうか
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「バッキー、遊ぼうか」
「はい?…………っ!?」
名前を呼ばれて返事をするのと同じくらいに椿の頬はジーノの手に捕まり目線を合わせられる。
ジーノでなくても他人と目を合わすのが苦手な椿は僅かに数秒でも、つい目を逸らしてしまうので、それこそこうして顔まで固定されてじっと見つめられれば、当然すぐに堪えられなくなりぎゅっと目を閉じてしまった。
そんな椿を見てクスリと笑うジーノ。
「バッキーの負けだね」
「え…?」
どういう事かさっぱり分からない椿がぱちっと目を開ければ、満足そうに僕の勝ちと笑うジーノが視界に入る。
「…何…スか?今の」
「嫌だなぁ…知らないの、バッキー?”にらめっこ”だよ」
さらりとジーノから返される言葉に椿がぽかんとなる。
(…にらめっこ?今のが…??)
「もう一回しようか」
考えがまとまらない椿の事は気にせず、ジーノが今度は椿の顎を掴みくいと持ち上げる。
「いや…あ…あ、あの」
「何?これじゃ嫌?」
しょうがないな、とジーノの手は顎から後頭部へ撫でる様に移動する。
視線が合うように近くづくジーノの顔に椿の顔が赤くなる。