本 ジノバキ

□アクシデント多発中!
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練習後、そういえば、と忘れ物を思い出して椿はグラウンドへ戻ろうと、いつも通り何も気にせずロッカー室のドアを開けた。



「うわっ」


「わぁっ」


 ドン!という音がして一瞬の事だったので誰かはわからないがぶつかった。


 椿はバランスを崩してその人物に倒れ込んでしまった。


 ハッと気がついて見てみれば、自分の下で「痛てて」と見上げる世良がいた。



「すっすみませんっ」


 慌てる椿。対して「あ、いや…」とどちらかというと嬉しそうな世良だった。



「大丈夫か、気をつけろよ」


 自分で起き上がるより先に腕を赤崎に引っ張られ椿が起き上がる。赤碕は椿を引き上げながら世良をじろっと睨んだ。


 世良にしてみれば大好きな椿が飛び込んできたラッキーなアクシデントだったので、内心「余計な事しやがって」とそっぽを向いた。



「だ、大丈夫です。すいませんっした」


 そんな二人の静かな睨み合いは知らない椿は、もう一度二人に頭を下げてグラウンドへと走って行った。



「…邪魔すんなよな」


 
 
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