Both sides
□Episode 4
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準決勝当日。
雷門イレブンは一足先に会場に着いて、ウォーミングアップを始めていた。
足先でボールを踊らせながら、奏多は険しい表情をしていた。
「(太陽…本当にやるの…?)」
「…奏多??どうかした?」
「え…だ、大丈夫。なんともないよ。」
天馬に心配されたが、天馬も分かればこんな気持ちになるだろう、と思う。
すると、会場が歓声に包まれた。
対戦校、荒雲学園が入場してきたのだ。
ユニフォームをまとったその中の一人に、太陽はいた。
太陽の表情はとても清々しく見えた。
だが、その裏では重い爆弾を抱えてこのフィールドに立ち、必ず勝つという強い意志がヒシヒシと伝わってくるようだった。
「たい、よう…??」
「やぁ、天馬。今日は勝たせてもらうからね。」
天馬は唖然としている。無理もないだろう。
「なんで…君はまだサッカーをしちゃ…!!」
「それでも、僕はこの試合に出なきゃならない。君達を倒すために。」
そういうと、方向を変えて自分のベンチへ戻っていく。
奏多の横を通って
「あれも使うつもり…?」
「出し惜しみなんてしてたら負けるからね。僕は全力で天馬を倒す。」
そう言い残し、去っていく。
奏多は天馬のもとへ駆けつけて
「天馬…」
「本当に、大丈夫なのかな…太陽は。」
「あの子…無理をすれば、将来サッカーが出来なくなるかもね…」
「っ?!そんな…!」
「無理をさせてはダメ。あの子には極力近づかないことね…!」
「奏多ー!ちょっといい?!」
「分かった!」
葵に呼ばれ、奏多は走っていく。
天馬の表情は見れなかったが、きっと悲しんでいるだろう。
奏多は冷たい笑みを見せていた。
前半が始まる。
どちらとも、ポジションにはついたようで、個々に準備運動などをしていた。
もちろん太陽もポジションにつき、雷門陣を見ていた。
奏多はベンチからそんなグランドを見つめていた。
「(さて…どんな試合をするのやら…)」
と、再度天馬を見る。
まだ迷っているように見える。
「みんな!絶対に勝つぞ!!」
神童の掛け声にみんなは反応して、ホイッスルが鳴った。
「いくよ…天馬!!」