Both sides
□Episode 1
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チチチ…
鳥の鳴く声が河川敷に伝わってきた。
ベンチに座って、ボーっと川を眺めていた。
「おはよう。」
散歩に出ていたご老人夫婦に挨拶された。
「おはようございます。」
ふんわりと笑って挨拶する。
「あなた…引っ越してきたの?」
「…はい。用事があって…」
「そうなのかい。いやぁ、ここに若者が来るのはアイツら以外、始めてだからのぅ。」
「アイツら…?」
「ほら、雷門中学校の1年生じゃよ。えっと…名前はなんだっけな…」
「名前まではいいですよ。」
とスクっと立ち上がり、
「私だって、その雷門中ってとこに行くんですから。」
そう言ってその場を後にした。
河川敷の道を通り、商店街を抜けるとそれはあった。
「…雷門中、ねぇ…。」
校舎をマジマジと見つめ、静かに笑った。
「どんなことが待ってるかな…?」
―少女