For me

□寂しがりな俺の背中
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※ジャパンチーム
※2人で練習した後の話




小学生の頃、円堂はよく遊びに行った帰り道に眠いと言っていた。
そして、それをおんぶしながら帰る自分。


今ではすっかり昔の記憶となってしまった。



「風丸ーー!何してんだー置いてくぞ!!」


俺の前を歩く円堂。
キャプテンとしてチームを支える円堂。
世界の強豪と渡り合えるようになった円堂。


もう、昔の円堂じゃない。



「悪い悪い、すぐ行くよ」


今日もサッカーのことしか考えていない。
むしろサッカー以外のことは考えられないんじゃないか?というくらいに。



「もう、みんな飯食べ始めてるぜ?」


「悪いな、こんな時間まで練習に付き合ってもらって」


昔はこんな時間まで練習すれば、円堂はいつもスタミナ切れで睡魔に襲われていた。
放っておけば歩きながら寝るんだから危ないことこの上無い。
あの時はよく俺の背中に世話になっていたのにな・・・

今じゃ俺のほうがスタミナが持たないかもしれない。
否、円堂が強くなりすぎたのか?



「昔はさ、よく風丸が負ぶってくれたよな」


「え・・・」


「俺が眠いって言ったらさ、風丸がすぐにしゃがんで・・・乗れよって。覚えてるか?」



「え、あぁもちろん」



同じこと考えてるなんて思いもしなかった。
円堂は懐かしいな、と言ってそうだ!と大きな声で言った。
この顔は円堂がよくする何かを思いついたときの顔。


「どうした?」


円堂は俺の背後に回り、背中に飛び乗った。
いきなりだったことと、思いの外重かったこともあり少々体がよろけた。
だが大事な幼馴染みを落とす、なんて失態はしなかった。


「へへ、風丸おんぶ!!」


「って・・・もうしてるじゃないか。それに、お前が勝手に乗ってきたんだろ?」


あの時よりも重い。
でも俺だって円堂を抱えるほどの力はある。
2人揃って、成長してるんだななんてしみじみ感じてしまった。



「円堂、ほらもうすぐ宿舎だぞ。降りないと皆に何て言われるか・・・円堂?」


返事がない、と思って呼びかけると、小さな寝息が返ってきた。


「まったく、やっぱりお前は変わらないんだな」


とりあえず部屋に行ってベッドに寝かせてやろう。
飯は、円堂が起きた時に一緒に食べてやるか。
寝てる間にキスしても、きっと運び賃ってことで許されるだろう。
全く、この幼馴染みは本当に昔から変わらない。


「ま、そこが好きなんだけどな」

-END-

狸寝入りだった、ってのはまた別の話・・・
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