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□急がば回れ、だぞ?
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※世界編
※決勝戦前の夜。





円堂は浜辺に来ていた。


遂に明日はFFI決勝戦。そう思うと体がウズウズして眠れなくなっていた。


そんな思いと裏腹に不安もあった。


まだ新しい必殺技が出来ていなく、内心はすごく焦っていた。



「……ハァ…」



自分らしくない溜息をついてしまう。


だが誰もいないので、聞かれることもないだろう。



「なんだ?溜息なんて、お前らしくないぞ。」



と、後ろから背中をポンッとたたかれ思わず声をあげてしまう。



「うわぁっ?!」


「なっ!なんだよっ、驚くじゃないか!」


「だって!いきなり声掛けられるとびっくりするじゃんか!!」


「…はいはい…すまなかったよ。」


「風丸もここに来たのか…」


「あぁ。」



そう言うと風丸は円堂の横に腰を下ろす。



「それにしても…珍しいな。」


「へっ…?あっ、まぁな。」


「悩みでもあるのか?」


「たいしたことじゃないんだけどさ…」



たいしたことじゃないって言うほうが大きな悩みだ、風丸は感じていた。


長い付き合いだと、こうも分かってしまうものだ。


そしてその言葉を言う円堂自身の顔も、何か苦しそうな顔だった。



「円堂。」


「ん?何だ?」


「俺がどうこう首をつこっむ訳じゃないんだけどさ…



急がば回れ、だぞ?」





それだけ言うと風丸は立ち上がって宿舎へと帰ってしまった。



「急がば回れ…。」



風丸の言葉に円堂はザァー…と音をたてている海を見つめながら呟く。



「…時には休息も必要だって言いたかったのかな…」



いや、風丸だからそういう風に言っているんだろう。


長い付き合いだと、こうも分かってしまうものだ。


円堂は静かに微笑み



「ありがと…風丸。」



そう海に言い放ち、浜辺を後にした。






‐END‐


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