For you
□好きの反対、の反対
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企画「ピアスにキス」提出文
聖帝×天馬
ふと、夜の街中を歩いていた。
なぜかそういう気分になっていた。
こんな時に限って、必ず嫌なことは起こる。
「…なんですか、一体。」
「なんだい?私が街を歩いてたらいけないかい??」
「そういう訳ではないです。でも…なんで俺の前に現れるんですか??」
俺の目の前に現れたのは、紛れも無く今のサッカーを変えた張本人、イシドシュウジさんだった。
「何を考えてるんですか…あなたは。」
「どういうことだい??」
「夜の街中でそんな格好して歩いていれば、不審者ですよ?」
と、俺は嫌味のように吐き捨てる。
でもイシドさんは、不快どころか笑っている。
なぜか背筋がゾクッとした。
「な、なんですか…」
「君も、こんな夜に歩いてたら誘っているようだよ??」
「んなわけないでしょう?!あなたは俺をどう思ってるんですか?!」
イシドさんの発言に思わず叫んでしまった。
そんな俺にイシドさんはクスクス笑って
「私は君のそんなとこ、好きなんだが?」
「はいっ?!」
びっくりして、徐々に顔が赤くなるのが分かった。
敵同士なのに、何を言ってるんだこの人は!!
「ば、バカじゃないですか?!」
「…の反対なんだが。」
「…分かってますよ!そんなこと!!」
俺をバカにして、まだ笑ってるイシドさん。
だけど、さっきより少し笑い方が変わっていた。
「全く…!!」
「…の反対だったら??」
「…はい??」
「さて、私は帰るとするか。」
「ま、待ってください!!」と言ってもイシドさんは足を止めず歩いていく。
すると、何故か俺の足はイシドさんを追っていて、何故か俺の手はイシドさんの腕をしっかり掴んでいた。
「さっきの言葉、なんなんですか…?」
「意味が分からないかい?」
「そんなことないですけど…!!でも…!!」
続きを言おうとしたら、イシドさんがいきなり俺との顔の距離を縮めた。
俺の顔はまた赤くなる。
「まだ、分からないかい??」
「…っ!」
「まぁ、ゆっくり考えるといいよ。」
そして、いつの間にか俺の口には生温かいものが重なってた。
「な…なぁ…!!」
「会える日を楽しみにしてるよ。次は…
好きの反対、の反対の意味を分かってね。」
-END-