Other dream
□かみさま、
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「おい、待てよ」
君の声が聞こえて、あたしの手首を強く掴まれた。痛い程強い力で。
さすけ、あなたは何時の間に強くなったの?
「病院、帰るぞ」
「やだ」
「ほら。」
何時もあなたはそうだ。
私が屋上から飛んで鳥に成ろうとした時も、ビタミン剤と間違えて別の薬をたくさん飲んだ時も、手首から太い毛が一本生えてきたから手首ごと削ろうとした時も、君の手が伸びてきて其れを阻止したんだ。
「しにたい」
「しなないから」
「しなせて」
「馬鹿か」
君はそう答えると、あたしの手を握り直した。
今度は優しく、其れでも強い力で。
そしてあたしのボロボロな手首を愛おしそうにそっと撫でた。
その瞳、その表情。何でそんな顔をするの?
どうして、あたしなんかの為に?
「ね、さすけ、さすけはさ…どうして、あたしに構うの?」
「…其れは」
「どうして、あたしなんかといるの?」
「…」
「意味わかんないよ」
「其れは、僕が君を好きだからだ」
「…うそ?」
「嘘じゃない」
そう言って君はあたしの身体を抱きしめた。既にボロボロなあたしの心までもを包むかの様に。
あったかいさすけの身体は、
小さな頃と変わらない感触だった。
(かみさま、)(どうやらあたしもしあわせになれるようです。)