◆記念

□大人への階段と試験の階段
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昔から、馬鹿だ馬鹿だと言われてきた。
確かにあたしは、キルアに比べると子供だ。
というか年相応。
そう、つまり、キルアが大人びているのだ。
あたしもだけど、キルアはまだたったの十二歳なのに。



「ここを出る」



そう言ったキルアの言葉が正しいかどうかもわからなかった。
だけど、キルアは賢いから。
きっとそれが正しいんだろう、って思った。
だからあたしは頷いた。










「キルアッ、待ってよぉ! もう少しゆっくりっ…」

「はぁ? 十分ゆっくりだろ、早く走れよな」

「もっ、無理……」



現在ハンター試験真っ只中。
キルアはスケボー、あたしはダッシュで第一次試験に臨んでいる。

あたしとキルアは幼なじみだ。といっても主人と使用人の関係だけど。

ご立派に暗殺業をなさっている家の三男と、そこに遣える出来損ないの使用人。

主人というよりは、友人に接するようにキルアと話していた。
今思えば、何故クビにされなかったのか…いや、殺されなかったのか不思議である。
でもまぁ、キルアと一緒に家を出たとなると、今度こそ殺されるだろう。



「遅い」

「そんな無茶な……」



あたしはキルアと違って何の訓練もしてないんですっ!
と言いたかったけど、そんなことを言ってもキルアに馬鹿にされるだけだと分かっているので言わない。



「お前って本当にどんくさいよなー」

「ひどっ、あたしがどんくさいんじゃなくて、キルアが凄すぎるの!」

「普通だろ」



……普通じゃないよ……。

ていうかもう限界だ!



「キルア、あたしもう無理……」

「はあ!? まだ始まって10分くらいだぞ!?」

「だ、だって走ってるんだもん! 疲れるよ!」

「どんだけ体力無いんだよ……」



呆れた様子のキルアなんか気にならない。だってそれどころじゃないし。
 
 
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