◆記念
□100HIT記念
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私には密かにライバル視している相手が居る。けれど一度も勝ったことがない彼。
彼の名前は麻倉ハオ。
100点をとるための恋
彼はテストで毎回全教科満点を取り、常に学年トップに居る人物である。私は常に学年二位の女だ。
麻倉ハオはいつでも笑顔で、容姿端麗成績優秀。もちろん運動神経だって並じゃ無い。
だから麻倉ハオはいつだって好かれていたし、人の輪の中心に居た。
まるで私とは正反対。
麻倉ハオを目にする度にそう思う。
だけど私はそれを妬んでいる訳では無い。
いつもいつもいい子の仮面を貼付けて、面倒臭そうだとすら思う。
大変そうだなぁなんて人事のように(まぁ人事なんだけど)思いながら勉強に励んでいた時だった。
「ナナコー。また勉強してんのぉ? やめなよ、麻倉くんには勝てないってぇ」
不快な声。
彼女の名前はミサ。一年前までは大親友だったっけ。確か。
「ミサは本当に麻倉くんラブだね。ご苦労様。そういう一途さが報われるといいんだけど」
「なっ」
カッと顔を赤くしたミサは私を睨みつけるとすぐに麻倉ハオの席を取り囲んでいる輪に割り込んだ。
「麻倉くん、麻倉くん。ナナコが酷いこと言うのー。ミサ何もしてないのにぃー」
涙目+上目遣い。ミサの性格の悪さを知らない男達は目を奪われていた。
麻倉ハオはミサにニコッと笑いかけたあと私を見た。
あんなに勝手にライバル視していた割にこうして目が合うのは初めてで、これから始まるだろう会話ももちろん初めてだ。
「何を言ったんだい」
「別に。ミサが麻倉くんラブらしいから、報われたらいいねーって言っただけ」
初会話がこれかよ。と思ったけれど、私が伝えてやったミサの公開告白に教室は騒ぎはじめて満足する。
「酷いよナナコ……。ミサの気持ち、馬鹿にしてるんでしょっ!」
弱々しく言って顔を伏せるミサ。肩は震えている。こいつ、絶対笑ってる。
しかし周りはそう判断しない。すぐに私を蔑む声がいくつも聞こえた。
「ちょっと頭いいからって何様のつもりな訳?」
「いい子だと思ってたのになー。結局は性悪女かよ。まじ幻滅だわ」
「どうせ麻倉狙いじゃねぇの?」