◆短編
□偽りの無い君が大好き
1ページ/1ページ
「僕ら両想いだね。付き合おうよ」
そう言って早一週間経った。
ナナコはシャーマンとしての能力が高い。その力はラキスト程もあり、実力は皆が認めている。さらに可愛くて気が利いて正直で素直で気立てが良く、周りはすぐに祝福してくれた。あの花組までもが。
「ハオ様と恋人ですかー」
また朝。毎朝の同じ会話を繰り返した後、川の水を温めてやる。ぬるくなった水で顔を洗い終えたナナコは、靴を脱いで足を川につけた。
「そうだよ。ナナコは可愛くて気が利いて正直で素直で気立てが良いから、自慢の彼女だ」
「似た言葉がたくさんあるうえに、私はそんないい子じゃありません」
「はは、謙遜するなよ」
「……。(ハオ様の思考回路絶対に可笑しい)」
悩ましげに頭を抱えたナナコを見ていると心が温かくなった。
付き合う、それは想い合っている男女が交際するというもの。
僕らは確かに想い合っているだろう。だけどそれは、ナナコは僕が「好き」というだけで僕を「愛している」という訳じゃないし、僕だってそう。ただナナコを離れさせないように、恋人という鎖で繋いだんだ。
「どうかしましたか?」
鋭い。ナナコの問い掛けはスルーして、僕は口を開いた。
「僕らは恋人同士なんだから敬語や様なんて使わなくていいんだよ」
「でも私は家臣ですので」
「僕の恋人だろ?」
「ハオ様の家臣です」
「…………」
「…………」
「…………僕の命令だ」
「…………卑怯な」
苦々しげに呟いた声。ナナコは普段は余り従わないくせに、こういうことは無駄に気にする。でもそこもまた律儀で可愛い、なんて僕が考えているのを知ったら、ナナコはまた否定するんだろうな。
「ハオ」
ドキッ
不覚にも、少女のように心臓が強く脈打った。
「なに? ハオが、」
そう言ったんでしょう
ナナコの言葉は声にならなかったけど、僕にだけはしっかり届いた。僕はナナコを抱きしめて腰を引き寄せた。
「ナナコ……」
耳元で名前を囁けば、ナナコはぴくりと震えた。
「襲ってもい
「ひいーーっ!」
ビンタして逃げたナナコが可愛くて可愛くて。ジン、と熱くなった頬っぺたに触れて一人笑った。
あぁ、どうしよう
ナナコ
大好き、かもしれない
偽りの無い君が大好き
(ラキスト、オパチョ。いつまで隠れて見るつもりだい?それに僕は頭が可笑しい人じゃないよ)
((…………。))
管理人「最後はひとりでニヤニヤしているハオ様を目撃したラキストとオパチョとの会話。なんかこう、可笑しいハオ様ってイメージにあいません><←」
2011.1/18