◆短編
□第4次試験Another*
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「ん?」
プレートを集め終えたナナコが島内をウロウロしていると、ヒソカのオーラを感じた。しかも不穏な雰囲気を放っている。
近くに行くと男の子が震えながら茂みに隠れていた。明らかに怯えているくせにそこを離れようとしない彼に興味が沸き肩を叩く。
「……ッッ!!!」
思った以上に体が跳ね上がり、とっさに口を押さえ付ける。男の子も自分で押さえたようだ。何だか可笑しくて少し微笑む。
「何してるの?」
「ぁ……、オレは、」
「誰だい 」
ゲッ、何でばれたんだ。
とナナコは思ったが、興奮状態のヒソカはいつも以上に敏感なことを思い出す。男の子が歯をカチカチ鳴らし出したので、彼はヒソカと戦闘になったら殺されると判断して立ち上がる。安心させるように笑みを向けてから名乗り出る。
「あたし」
「ナナコかい」
「うん」
「近寄らない方がいい 今ボクは興奮してるからね 」
クックック、といつもより高い声で喘ぐように笑うヒソカ。気にせずに近づくとヒソカは顔を押さえて体を震わした。
「みたいだね〜」
思わず苦笑。指の間から見える顔がやばくて俯くと、苦しそうなソレに目がいった。別に変態って訳じゃない。たまたまだ。
「ソレ。大変そうだね。静めてあげよっかぁ?」
しばらく自分を抑えていたらしいヒソカが顔から手をどけた。
「あぁ、コレか うん、お願いしようかな でもボクはコッチじゃなくて殺りたいんだけど 」
今の状態のヒソカならやりかねない。普段は割と大人しいのだ。食事やデート(決闘)に何度も誘われて断っては「残念 」とニヤニヤ笑いをされて済む。機嫌を損ねさえしなければまず殺されない。そんな彼が一度興奮すると、抑え切れないくらいの欲望が渦巻いてしまう。
「残念ながら団員同士だからねぇ。ま、ヒソカが今すぐ抜けるならいいけど」
「それってドッチのこと? 」
「ふふっ、両方だよ」
ヒソカが旅団を抜けたら力加減なしで殺り合えるし(ナナコはしたくない)、自分で自慰するならナナコがわざわざ抜いてやらなくてもいい。ヒソカ次第なのだ。