◆短編
□何かが変わった
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あれから一ヶ月が経った今。ナナコとイルミはすっかり相思相愛の婚約者となっていた。
「まあまあまあ!そうなの、ナナコさん!」
「はいお義母様!ようやくイルミさまと両想いになれました。幸せ!」
「オレも幸せだよナナコ」
「イルミは奥手だからどうしたものかと思っていたんだが、心配は要らないようだな。子作りは順調か?」
「それがまだなんだ」
「イルミさまはお優しいですから、私の心の準備が整うまで待つとおっしゃってくれたんです!」
「イルミ、時として男は強引でなければ駄目だ。女は心の奥深くでそれを望んでいる。叶えてやれ」
「わかった親父」
「私もパパの強引な所に惹かれて結婚したのよ。流星街で初めて出会った時、ここで死ぬかオレの嫁になるかどっちがいい、って聞かれてときめいちゃったわ!オホホホホホ」
「まあ、なんてロマンチック!私とイルミさまとの出会いと同じくらいですね」
「ナナコさんったら、オホホホ」
「してナナコよ、わしは女の子がいいのう。ゾルディックは男ばかりじゃから」
「はいお祖父様。でも私男の子も欲しいな…イルミさまはどちらがいいですか?」
「オレはどっちでもいいよ。ナナコさえ居てくれたら」
「きゃっ!愛してますイルミさま!」
「ならたくさん作ったらどうかしら?それならきっと男も女も生まれるわ」
「名案過ぎますお義母様!」
ゾルディック家食卓。皆が皆マイペース、しかもマイペースなりに話が合うので話は止まらない。つっこんだり流れを変えるような人物が居ないため、先程からずーっとこの調子だ。
ミルキは部屋にひきこもり、キルアは家出中。今この場に彼らが居ないのは間違いなく正解だろう。
「名前は何がいいですかね」
「何を言っているナナコ。名前を考える前にするべき事があるだろう。イルミには分かるな?」
「うん。じゃ、オレナナコと子供作ってくるから。部屋入らないでね」
「破廉恥ですイルミさまっ」
毒が入った料理を綺麗に食べ終えた二人は、キキョウ、シルバ、ゼノの三人の暖かい瞳に送り出されてイルミの部屋に向かった。
「私、初めてなんです。優しくして下さいね、なんて」
「出来るだけ頑張る。愛してるよ」
「私も。大好きですイルミさま」
「大好き?オレは愛してるのに?」
「うふふっ、愛してますよう!」
ガバッとナナコはイルミを押し倒した。
「積極的だね。ナナコは上がいいの?」
「欲情しちゃってつい。あぁ、何だか再会の時を思い出しますね。イルミさまってば怖かったですよ〜」
「その分今愛情注いでるだろ」
「はい。その愛は今からちゃーんと感じますね」
いたずらにナナコは笑った。それを合図に二人は互いに互いの服に手をかけながら、深いキスをした。