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まず最初にペインは、角都が食べるために残しておいたせんべいを全部食べてしまった飛段の後ろへと回り込んだ。

飛段はすでに角都が残しておいた馬刺しにまで手を出しており、もしゃもしゃと口に入れていた。

飛段にも後のことを考える思考はなかった。

その飛段の背中を強く押せば、立ち歩いて食べていた飛段の体は前に倒れた。


「うおおおおぉぉああっ!?」
「ぐぁあああぁぁぁあっ!?」


その飛段が倒れた先にいたのは起爆粘土を作っていたデイダラで、その粘土もろとも飛段とデイダラは床に倒れ込んだ。

しかしそこで負の連鎖は止まらない。


転んだ拍子に、馬刺しと粘土がメンテナンス中のヒルコにべちょっと落ちた。

それを見ながら沈黙するサソリとぐちゃぐちゃにもつれながらこの場から逃げ出そうとする飛段とデイダラ。

サソリは口角を上げて笑いながら見開いた目をペインに向ける。



「いい度胸だなテメェ…。今作ったオレ特製の毒針の威力をテメーの体で試させろや」
「サソリの旦那やっちゃえー」
「殺れ!殺っちまえ!」


サソリが投げた毒針を万象天引で弾き飛ばしたペインはさすがに命の危機を感じて部屋を飛び出た。


物凄い勢いで追いかけてくる三人の方を振り返らずにペインは走った。

この曲がり角を曲がれば外だ、というところでペインとは違うもう一人の人間が曲がり角を曲がって来ていた。

それにノーブレーキで突っ込んでしまったペインは反動で壁に頭を打ち付けて唸った。



「あ」


短く言葉を発したのはペインではなく、ペインにぶつかられたイタチの方だった。

イタチはサソリ、デイダラ、ペイン、飛段がふざけ合いをしている間に部屋を抜けて鬼鮫から高級団子を貰いに行っていた。
これはその帰りの出来事である。


イタチは手に持っていた高級団子と書かれた包みを見ながら茫然としていた。

包みはペインとぶつかったことでぐちゃぐちゃに潰れ、中に入っていた団子であったものはペインとイタチの衣にべっとりと付着していた。

さきほどまで鬼鮫から団子を受け取って上機嫌だったイタチの機嫌は今の出来事でどん底まで突き落とされてしまった。


潰れた包みを見ながら黙りこむイタチを前にペインは逃げ出せないでいた。

ここで動いたらイタチに何をされるかわからないからだ。



***




「ジャシン様!こいつ呪う!今から呪うから!」
「喝、喝、喝!」
「飛段!それだけは止めてくれ!デイダラ!さっきから地味に痛い!」



両腕を縛ったペインにさっきのお返しとばかりにデイダラがボン、ボンと小さい音をたてる粘土をペインの顔の前で爆発させる。

ペインがそこで縄抜けの術を使わないのは四人に対してすまないという気持ちが少しあるからだった。




「あはははは!はははは!」
「サソリ!その顔で笑わないでくれ!怖い!」
「馬刺しと粘土の匂いがヒルコについちまった!ははははっ!おもしれぇなぁオイ!」


壊れたように笑い続けるサソリを押しのけてイタチがペインの前に立った。


「これを持て…」
「温度計…?」


ペインに温度計を持たせてイタチは目を瞑って集中し始める。

イタチが何をするつもりなのか悟ったペインはバキンと温度計を握りつぶして叫んだ。


「あまてら…」
「イタチ!よしてくれ!本当にそれだけは!」
「……」
「何でもする!オレが悪かった!許してくれ!」
「どこかの小悪党だな、うん」


そう言いながらデイダラは横に倒れているペインの顔の前にさきほどよりも一回り大きい起爆粘土を置いた。

デイダラ曰く芸術的なデザインのそれを見たペインは言った。


「何だ?」
「その爆発に耐えたらさっきお前がしたことはチャラにしてやる」
「オレ達の分はな」
「………わかった、やってくれ」
「喝」



もはやペインいじめの会場と化したアジトの外では小南が換金所帰りの角都とともにペインの「ぬああぁぁああ!!熱っ!」という悲鳴を聞いて失笑していた。





***




その後、イタチのために買った高級団子をペインに潰された鬼鮫の怒りの水鮫弾でアジトは半壊、飛段は角都とせんべい、馬刺しについて大喧嘩をし小南の堪忍袋をずたずたに引き裂いたという。









終!


 
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